例えば、脳神経外科や脳神経内科では、脳が原因となる認知機能の低下や麻痺症状などの検査・治療に対応しています。対して精神科や心療内科では、認知症の二次症状とされる「BPSD(行動・心理症状)」に対応し、脳波や心電図測定などの検査を行ないます。
どの診療科を受診すべきかわからない場合は、症状をかかりつけ医に相談し適した診療科を紹介してもらう、もしくは「地域包括支援センター」を利用するとよいでしょう。
地域包括支援センターとは、高齢者自身が住み慣れている地域で生活を続けられるよう支援を行なう相談窓口です。社会福祉士や保健師などの専門家が配置されており、「どの病院に行けばいいのかわからない」といった認知症の検査や受診に関する問い合わせ・相談ができます。
医療機関を受診するタイミングは、認知症の初期症状と思われる症状が出たときです。初期症状では、以下のような様子が見られます。
・何度も同じことを聞く、もの忘れが頻繁になる
・趣味や日課に対する興味、意欲が減少する
・怒りっぽくなるなどの感情の起伏が変化する
・料理や計算、運転のミスが増える
上記はあくまで一例であり、認知症の症状は原因や周囲の環境、本人の性格などにより異なります。普段と違うと感じる点があれば、早めに受診するとよいでしょう。
認知症の検査を受けるメリット
早期発見や早期治療につながる
例えば、三大認知症と呼ばれるアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症、脳血管性認知症は、脳の変性やダメージにより認知機能が低下する病気です。変性した箇所やダメージを受けた箇所は基本的に回復せず、症状は日々進行するため完治しないとされています。
しかし、完治が困難な認知症でも、治療によって症状の進行を遅らせることは可能です。そのためには、医療機関の受診・検査によってできる限り早く認知症かどうかを確認し、適切な治療を始めることが重要といえます。
ほかの病気の発見・治療につながる
例えば、慢性硬膜下血腫や正常圧水頭症などの病気です。
これらの病気では、認知症に似た症状が見られる場合があります。発見が遅れると命の危険にもかかわりかねないため、注意が必要です。認知症の検査によって病気の早期発見・治療ができれば、認知症の進行を食い止めるだけでなく命を守ることにもつながるでしょう。
認知症検査の費用の目安
例えば、認知機能テストの場合は3割負担で約250円ですが、CT検査の場合は同じ3割負担でも約5,000円~1万円がかかります。MRI検査は3割負担で1万円前後、MCIスクリーニング検査は健康保険適用外となるため、自費で約2~3万円です。
症状によって、どの検査が必要になるのかは異なります。また、検査を複数組み合わせる場合など、検査項目が増えるほど費用が高くなる点に留意しましょう。