認知症のPET検査にかかる費用の目安は?検査の特徴・流れ


認知症の診断や治療効果測定のためにPET検査の受診を検討するなかで、費用の目安について詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか。認知症のPET検査には保険が適用されないため、事前に費用の目安を把握しておくことが大切です。

今回は、認知症のPET検査における種類別の特徴や費用の目安、PET検査の流れを紹介するので、ぜひ参考にしてください。

認知症の早期発見につながる「PET検査」とその他検査

まずは、PET検査のおもな種類とその特徴、その他の認知症検査の特徴を紹介します。

アミロイドPET検査

アミロイドPET検査とは、認知症の過半数を占める「アルツハイマー型認知症」の早期発見につながる可能性のある検査のことです。そもそもアルツハイマー型認知症は、異常たんぱくであるアミロイドβが脳内へ蓄積することが原因といわれ、その蓄積はアルツハイマー型認知症を発症する約10~25年前から始まるとされています。

アミロイドPET検査は、アミロイドβと結合する性質を持つ「アミロイドPETイメージング剤」を静脈より投与し、蓄積の程度を脳画像によって診断するものです。他の病気でも認知症と同程度のアミロイドβ沈着が見られるため、他の検査なども含めて判断する必要があります。

薬剤からは少量の放射線を受けますが、将来的な放射線障害の影響は心配ないとされています。ただし、妊娠している方は検査を受けられません

FDG-PET検査

FDG-PET検査も、アミロイドPET検査と同様にアルツハイマー型認知症の早期発見に役立てられる認知症検査です。

この検査では、放射性物質が取り込まれている「FDG」という薬剤を静脈へ注射します。FDGはブドウ糖に似た性質を持っているため、脳画像により代謝を計測してアルツハイマー型認知症特有の変化の有無を調べることが可能です。

その他の認知症検査

PET検査以外の認知症検査には、以下が挙げられます。

検査の種類

特徴

神経心理学検査

時間・場所などを正しく認識しているか、質問により認知機能を確認するテスト。

脳画像検査

脳の萎縮や出血の有無を調べるMRI検査・CT検査、脳の血流を調べる脳血流SPECT検査などがある

血液検査

認知症の発症リスクを測定するAPOE遺伝子型検査、血液中にある特定のタンパク質を調べるMCIスクリーニング検査などがある


上表のとおり、一口に認知症検査といってもさまざまな種類があるため、ご自身の状態などに応じて適切な検査を受けることが重要です。

認知症のPET検査にかかる費用の目安

医療機関によって費用は変動しますが、アミロイドPET検査の費用の目安は30万円~60万円前後、FDG-PET検査の費用の目安は6万円~11万円前後とされています。

アミロイドPET検査は保険適用外であるため、費用は全額自己負担をしなければなりません。FDG-PET検査に関しても、すべての悪性腫瘍の病期診断や再発・転移診断に対しては保険適用されますが、認知症の診断では保険適用外です。

認知症のPET検査を受ける流れ

ここからは、アミロイドPET検査を例に、認知症のPET検査を受ける流れについて解説します。

1.かかりつけ医・近隣の医療機関を受診

認知症に関する検査を受けたい場合、かかりつけ医に相談のうえ、PET検査を実施している医療機関への紹介状をもらいましょう。かかりつけ医がいない場合は、近隣の医療機関でPET検査を実施しているところを探し、検査を予約します。

2.検査受付・身体測定

検査の数時間前からは絶食するなどの注意事項にしたがい、検査を受ける医療機関へ行きます。受付の際には、記入した同意書を提出することが多いでしょう。

そのあとは検査着に着替え、身長や体重、血圧などを測定します。

3.薬剤投与

アミロイドPET検査で使用する薬剤を、静脈に注射します。薬剤が脳内へ行き渡るまで、40分~1時間程度は安静にして待っておかなければなりません。

4.PET-CT撮像

仰向けに寝た状態で20~30分程度、PET-CT撮像を行ないます。検査結果は、検診から2~3週間後に郵送されることが一般的です。

アミロイドPET検査の結果が「陽性」の場合は、将来的に認知機能障害が進行するリスクがあります。そのため、検査機関やかかりつけ医による、定期的なフォローアップを受けることになるでしょう。

また、保険が適用できるがん検診のPET検査で異常所見があった場合は、診断確定のために追加検査が必要になるケースがあります。がんと診断された際は、初期治療に向けて準備していかなければならないでしょう。

認知症のPET検査受診も検討しながら将来に備えよう


認知症のPET検査は保険適用外となり、アミロイドPET検査では30万円~60万円前後、FDG-PET検査では6万円~11万円前後の費用がかかるとされています。また、万が一検査で陽性になった場合には、認知機能障害の進行に備えて専門医のサポートが欠かせません。

 
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別府 拓紀[医師]

産業医科大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院、市中病院、企業の専属産業医などを経て、現在は市中病院で地域の精神科医療に従事している。
資格: 精神保健指定医、精神科専門医、老年精神医学会専門医、認知症サポート医、臨床精神神経薬理学専門医、公認心理師、メンタルヘルス運動指導士、健康スポーツ医、産業医など

公開日:2023年8月4日

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