認知症による尿失禁を防ぐために、日常生活のなかでできる予防策があります。ここでは、尿失禁の予防に有効な6つの方法を解説します。
認知症の方はトイレに行きたいときに言葉ではっきりと伝えられないことがあるため、小さなサインを見落とさないようにしましょう。「落ち着きがない」「物陰に隠れている」などの行動が見られたときは、トイレに行きたいサインである可能性があります。
サインの出し方は個人によって異なるため、普段の様子をよく観察し、その方特有の合図を把握しておくことが大切です。普段と違う行動が見られた場合は、トイレに行きたいかどうかを聞いてあげるとよいでしょう。
認知症の方がトイレを簡単に見つけられるように、表示をわかりやすくしておきましょう。例えば、ドアに大きな文字で「トイレ」と書いた紙を貼ったり、便器のイラストを使ったりすると、視覚的に見つけやすくなります。
また、トイレのドアを開けたままにして、廊下から便器が見える状態にしておくのも効果的です。夜間はトイレまでの道順に明かりをつけておき、場所や距離を把握しやすいようにしておくのも良いでしょう。視覚的な工夫によって、自立してトイレを利用しやすくなります。
尿失禁を防ぐには、定期的にトイレに行く時間を設けることが重要です。起床後や食後、2時間ごとなど、決まったタイミングでトイレに誘導することで尿失禁のリスクを減らせます。
また、本人が尿意を感じていなくても、声をかけてトイレに連れて行くと排泄する場合があります。水分摂取量や排尿パターンを記録しておくと、適切なタイミングを見つけやすくなるでしょう。行動パターンを把握し、尿失禁を未然に防ぐ対応を心がけましょう。
認知症の方が安全にトイレを使用できるよう、環境を整えることも重要です。認知機能が低下すると、ゴミ箱や植木を便器と認識してしまうケースがあります。また、トイレの床にマットが敷かれていると、滑って転んでしまう恐れがあります。
トイレの安全性を高めるには、便器と誤認しやすい家具やインテリア、転倒のおそれがある敷物を置かないことが大切です。さらに、転倒リスクを減らすため、便座を高くしたり壁に手すりを設置したりすることも有効です。
服の着脱で手間取ってしまい尿失禁につながるケースがあるため、普段から本人が着慣れている服を選ぶことが重要です。
具体的には、ボタンやファスナーの位置がわかりやすく、簡単に脱ぎ着できる服を選ぶとよいでしょう。ベルトやバックルが必要なズボンは避け、ゴムウエストなど上げ下げが簡単な服を選ぶのがおすすめです。
尿失禁を防ぐには、介護する方が「トイレに行きたくなったら、遠慮せずに教えてください」と伝えることも大切です。認知症の方は、トイレの介助を受けることに恥ずかしさを感じ、トイレに行きたい気持ちをうまく伝えられないことがあります。
介護する方が普段から積極的に声かけしておくと、認知症の方は安心感を覚え、トイレに行きたい気持ちを伝えやすくなるでしょう。