認知症に深く関係する物質 アミロイドβとは

認知症の中で、最も多いタイプであるアルツハイマー型認知症。
認知症の原因にはさまざまな仮説がありますが、アルツハイマー型認知症の発症には「アミロイドβ(ベータ)」が大きく関わっていると考えられています。
アミロイドβとは何か、詳しく解説します。

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アミロイドβとは

アミロイドβとは、脳内で作られるたんぱく質の一種で、通常は脳内のゴミとして短期間で分解・排出されるものです。
アミロイドβは分解される際、無害で排出されやすいものと、毒性が強く排出されにくいものとに分かれます。

脳に蓄積されるアミロイドβ

アミロイドβ同士がくっついて、正常なアミロイドβよりも大きい異常なたんぱく質ができてしまうと、排出しにくく、蓄積しやすくなってしまいます。
蓄積のメカニズムの詳細は完全には解明されていませんが、加齢や遺伝などが影響して分解や排出がうまくいかなくなることで、毒性の強いアミロイドβが溜まり始めるとみられています。

アルツハイマー型認知症とアミロイドβの関係

アルツハイマー型認知症患者の脳に起こる特徴的な病理変化として、アミロイドβからなる「老人斑」があることから、アミロイドβの蓄積が発症の原因であると考えられています。
排出されずに脳に蓄積されたアミロイドβは、健康な神経細胞にまとわりつきます。そしてアミロイドβの出す毒素により神経細胞やシナプスが傷つき、徐々に死滅していくことで脳が委縮。その結果、アルツハイマー型認知症が発症・進行していくとみられています。
アミロイドβは認知症の症状が現れる20年以上前から脳内に蓄積し始めると考えられています。つまり、アミロイドβの蓄積は、脳の萎縮や認知機能の低下が進行するはるか前の正常な状態から始まっており、たとえば70~80歳で認知症を発症するとしたら、実は40代や50代からアミロイドβが蓄積され始めるということです。

出典:厚生労働省「認知症予防・支援マニュアル(改訂版)」(平成21年)

アルツハイマー型認知症とは

認知症にはいくつか種類がありますが、日本ではその半数以上をアルツハイマー型認知症が占めるとされています。

出典:厚生労働省「認知症予防・支援マニュアル(改訂版)」(平成21年)

アルツハイマー型認知症の症状として、近時記憶障害(昔のことはよく覚えているが、最近のことは忘れてしまう)で発症することが多いです。軽度の物忘れから徐々に進行し、やがて時間や場所の感覚がなくなっていきます。

出展:厚生労働省「認知症施策の総合的な推進について」(令和元年)

糖尿病とアミロイドβの蓄積

近年の研究では、糖尿病によってアミロイドβの蓄積が進みやすくなることが分かってきています。
人間の体では、すい臓から分泌されるインスリンによって血糖がコントロールされます。そして使用済みのインスリンは、「インスリン分解酵素」の働きで分解されます。
一方、インスリン分解酵素はアミロイドβも分解し、掃き出す機能もあわせ持っています。
糖尿病になると、血糖値が上がりインスリンの量が増えすぎてしまいます。すると、インスリン分解酵素はインスリンの分解だけで手いっぱいになってしまい、アミロイドβ排除が十分にできなくなります。
結果として糖尿病によりアミロイドβが溜まってしまい、アルツハイマー型認知症のリスクが高まってしまうとみられています。

アミロイドβに関する検査

アミロイドPET検査

アミロイドPET検査は、脳内に蓄積したアミロイドβを可視化する画像検査です。
かつては脳に溜まったアミロイドβを確認することは困難でしたが、現在ではこの検査により、画像診断で脳内のアミロイドβの蓄積量が分かるようになりました。
実施できる施設は限られ、また健康保険の適用外のため自費診療となりますので、希望する場合は、事前に病院や健康センターなどに連絡をして、検査方法や費用について説明を受け確認しましょう。

MCIスクリーニング検査

アルツハイマー病の前段階であるMCIのリスクをはかる血液検査「MCIスクリーニング検査」では、アミロイドβの排除に関与するタンパク質の血中量を測ることで、MCIのリスクを判定します。

アルツハイマー型認知症の予防と備え

アミロイドβはアルツハイマー型認知症にとって関係があることは分かってきていますが、認知症の予防の鍵はアミロイドβだけではないとも言われており、予防法や治療薬の研究も、盛んに行われています。
アルツハイマー型認知症の発症には、生活習慣が影響するといわれています。
食生活や運動の習慣を見直し、生活習慣病、そして認知症の予防を心がけましょう。
あわせて、万が一認知症になった時に備えて、認知症保険のご加入もぜひご検討ください。
   
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将来に備えて保険加入をご検討中の場合は、ぜひご活用ください。

とよだクリニック・認知症予防センター院長
豊田 早苗

2000年鳥取大学医学部医学科卒業。2002~2004年総合診療医として病院過疎地域での地域住民の健康診断等に従事した後、2005年とよだクリニック(精神科・心療内科・神経内科・内科)開業。2015年とよだクリニック認知症予防リハビリセンター開設。
所属学会:総合診療医学会/認知症予防学会/老年精神医学会 所属医療機関:鳥取県米子市 とよだクリニック

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