家族であっても、介護においてやってはいけない行為もあります。適切な介護を続けるために、注意すべきポイントを確認しておきましょう。
注射や点滴などの医療行為は、医師や看護師などの専門職でなければ行えません。
医療行為は専門知識や経験、資格が必要です。家族が独自の判断で行うと、ケガや事故につながる危険があるため、必ず専門職に任せるようにしましょう。
ただし、「痰の吸引」といったその行為なしでは日常生活を送れないような一部の医療的ケアについては、条件を満たせば家族が行える場合もあります。
介護される本人の意思を尊重することは何よりも大切です。
家族側の「やってあげている」という意識が強すぎると、本人の自尊心を傷つけてしまうことがあります。
また、過干渉や子ども扱いは避け、できることは本人に任せる姿勢も忘れないようにしましょう。
「親の介護は自分がやらなければ」という責任感から、無理をしてしまう方もいます。
しかし、睡眠不足や過労、ストレスが続くと、介護者が健康を損ねてしまい、介護自体が難しくなるおそれがあります。一人で限界まで我慢せず、早めに周囲のサポートを求めることが大切です。
介護は「家族だけが頑張るもの」ではありません。必要な支援を受けながら、続けられる形を見つけることが大切です。
ここでは、介護の負担を減らすための具体的な方法を紹介します。
各市町村には介護の相談窓口が設置されています。介護で悩んだら、まずは相談窓口を訪れてみましょう。
例えば、「地域包括支援センター」では、保健師や社会福祉士、ケアマネジャーが連携して支援を行っています。介護・医療・福祉の面から総合的にアドバイスを受けられ、必要な制度やサービスを紹介してもらえるでしょう。
「どこに相談すればいいのかわからない」という段階でも問題ありません。まずは一歩踏み出すことが大切です。
要介護認定を受けると、介護の必要性に応じて介護サービスを利用できます。
訪問介護・看護で日常生活のサポートや療養上の世話を受けたり、デイサービスのレクリエーションで他の利用者と交流の時間を持ったりすることも可能です。また、ショートステイを利用すれば、介護者が一時的に休息を取ることもできます。
「助けを求めても良い」と意識を切り替えることが、無理なく介護を続けるためのコツです。
介護サービスの種類・概要は下記記事で解説しています。併せてご覧ください。
介護サービスの種類とは?3つの分類と各サービスの特徴
家族が複数人いる場合は話し合い、介護の負担が偏らないように役割を分担しましょう。
仕事の都合や住まいの距離などを考慮しながら、「自分にできること・できないこと」を整理することが大切です。
例えば、「兄は金銭管理」「妹は通院の付き添い」「子どもたちは買い物や掃除」など、明確に分担するとスムーズです。
介護では、経済的な負担も大きな課題です。
上手に制度を活用して費用負担を軽減しましょう。
例えば、介護サービスの自己負担割合は所得に応じて1~3割となっています。さらに所得に応じてひと月当たりの自己負担限度額が定められており、上限を超えた分は高額介護サービス費制度によって払い戻される仕組みです。
また、高額医療・高額介護合算療養費制度を利用すれば、一年間の医療費と介護費の合計が自己負担限度額を超えた場合に超過分が払い戻されます。
上記以外にも、民間の介護保険に加入しておくことで、将来的な経済的負担を軽減できるでしょう。
介護費用を抑える方法は、下記記事でも解説しています。
介護費用を抑える方法は?7つの税金控除と負担軽減の制度・補助金