介護サービスの種類とは?
3つの分類と各サービスの特徴


介護サービスの利用を検討しているけれど、種類が多すぎて自分たちに適したサービスがわからないという方も多いのではないでしょうか。
介護サービスは、「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」の3つに大きく分類されます。また、それぞれ受けられる介護サービスは異なるため、内容を把握したうえで選ぶことが大切です。

本記事では、介護サービスの3つの分類と併せて、各分類に該当するサービスの種類・特徴を解説します。

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介護サービスの種類

介護サービスは、「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」の3つに大別されます。ここでは、各介護サービスの特徴を解説します。

居宅サービス

居宅サービスは、自宅で専門的な介護を受けるサービスです。担当のホームヘルパーなどが自宅を訪れ、生活に関するサポートや身体介護などを行います。

居宅サービスには、訪問介護や訪問入浴介護など複数の種類があり、必要なサービスを選択することが可能です。いずれのサービスも住み慣れた自宅で受けられるため、精神的なストレスが軽減されます。また、利用者本人だけでなく、介護を行う家族の負担軽減につながる点もメリットです。

施設サービス

施設サービスは、特別養護老人ホームや介護老人保健施設(老健)などの施設に入所して専門的な介護を受けるサービスです。介護だけでなく、必要に応じて医療サービスを受けられる施設もあります。

介護施設では24時間体制でサポートを受けられるため、急に体調が悪くなったときなどでも安心です。また、自宅での介護が困難になった場合に施設サービスを利用すると、介護者の負担を軽減できます。

地域密着型サービス

地域密着型サービスは、地域の特性や実情を踏まえたうえで、自治体が指定する事業者が提供する介護サービスです。2006年4月の介護保険制度の改正にともない創設されました。

ほかのサービスと比較すると規模は小さいものの、その分、利用者のニーズに沿ったきめ細かなサポートを受けられる点が大きなメリットです。なお、地域密着型サービスは、原則として施設が所在する自治体に住民票がある方が対象となっています。

居宅サービスのおもな種類

おもな居宅サービスは、以下に挙げる9種類です。それぞれの特徴を解説します。

訪問介護

自宅で身体介護や生活援助(買い物・掃除・洗濯など)を受けるサービスで、利用者の自立を促すことが目的です。利用者自身ができないことを中心にホームヘルパーがサポートするため「ホームヘルプサービス」ともいいます。

また、通院を目的とした介助サービスの提供も訪問介護の一環です。ただし、病院内でのサポートは病院スタッフの担当であり、介護サービスの範囲外となります。

関連記事:訪問介護(ホームヘルプ)の利用料金はどれくらい?料金の目安と費用負担軽減制度

訪問入浴介護

看護職員や介護職員が移動入浴車で運んだ浴槽や給湯設備などを使い、自宅で入浴介助を受けるサービスです。利用者本人が自力で入浴できず、介護者のサポートだけでは入浴が困難な場合に利用するとよいでしょう。

介護に不慣れな家族が入浴介助をすると、介護を受ける方が浴室内で転倒したり、必要以上に体力を消耗したりしかねません。介護を受ける方の入浴中の事故を未然に防ぐだけでなく、家族の負担を軽減するうえでも役立つサービスといえます。

関連記事:訪問入浴介護サービスとは?|利用条件やメリット・デメリット

訪問看護

医療的なケアが必要な方が、自宅で看護師や准看護師、保健師などの医療従事者によるケアを受けるサービスです。医師の指示のもとで、医療処置や医療機器の管理を受けられるため、病気や障害がある方でも住み慣れた家で安心して暮らせます。

身体的なサポートだけでなく、精神状態のケア、介護者の相談・支援なども訪問介護に含まれます。

関連記事:訪問看護は介護保険・医療保険どちらに該当?適用条件の違いや費用相場

訪問リハビリテーション

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの機能訓練指導員によるリハビリテーションを自宅で受けるサービスです。介護者に対するアドバイスや相談もサービスに含まれます。

自宅での日常生活の自立と社会参加が大きな目的であり、実際の生活環境を踏まえた訓練を受けられる点がメリットです。

居宅療養管理指導

通院の困難な方が、自宅で医師や薬剤師、管理栄養士、歯科医師、歯科衛生士などによる療養上必要な管理や指導を受けるサービスです。

居宅療養管理指導はあくまでも指導であり、診察や治療、投薬などの医療行為は受けられません。しかし、専門職の方から介護に関する不安の解消につながる具体的なアドバイスをもらえます。また、介護を受ける方の状態を踏まえたうえで、必要なサービスやケアを示してもらえる点もメリットです。

通所介護(デイサービス)

利用者が通所介護施設に通って、入浴や排泄、食事介助などの支援を受ける日帰りサービスです。施設によって受けられるサービス内容は異なりますが、レクリエーションや日常生活の動作訓練が行われるケースもあります。

利用者が自立した生活を送れるようにするための支援や社会的孤独感の解消、介護者の負担軽減などがおもな目的です。

関連記事:公的介護保険制度におけるデイサービス(通所介護)とは?サービス内容やメリット・デメリット

通所リハビリテーション(デイケア)

利用者が介護老人保健施設や病院、診療所などに通い、リハビリテーションを受けるサービスです。医師の指示のもと、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などの専門家による機能訓練を受けられます。

リハビリテーションがメインの目的であり、サービスを利用するには要介護認定を受けており、医師が必要性を認めていることが必要です。

短期入所生活介護(ショートステイ)

利用者の心身の状況や、介護者の仕事・病気などの理由により、一定期間だけ介護施設へ入所して介護や機能訓練などを受けられるサービスです。最長で30日まで連続で利用できます。

なお、短期入所生活介護の対象は、要介護認定を受けている方です。要支援認定を受けている方は、「介護予防短期入所生活介護」を受けられます。

福祉用具貸与・住宅改修費の支給

居宅サービスを利用して、介護環境を整えることも可能です。例えば、車椅子や介護ベッドなどの福祉用具をレンタルできます。
また、排泄や入浴用のアイテムなどレンタルに不向きな福祉用具の購入時に特定福祉用具購入費、階段や浴室に手すりを付けるなどリフォームをしたときに住宅改修費の支給を受けられます。


施設サービスのおもな種類

おもな施設サービスは、以下に挙げる3種類です。それぞれの特徴を解説します。

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

常時介護が必要で、在宅での介護が困難な方を対象にした公的な施設です。原則65歳以上で要介護3~5に認定された方、あるいは40~64歳の第二号被保険者でも特定疾病により要介護3~5に認定された方は入居できます。

施設に入所すると、介護ケアを受けながら日常生活を送ることが可能です。介護は24時間体制で行われ、機能訓練や療養上のサポートも受けられます。

介護老人保健施設(老健)

比較的状態が安定している方を対象にした施設です。例えば、退院直後で自宅療養に不安を抱える方が、在宅復帰を目指す際に利用します。
あくまでも自宅に戻るためのリハビリテーションを受けることが目的であり、入居できる期間は基本的に3~6カ月程度です。

介護医療院

2017年6月2日に公布された「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」によって介護保険法が改正されたことを機に創設された新しい施設です。医療機関と介護施設の両方の機能を持ち、利用者の長期的な療養を目的としています。

要介護高齢者の生活施設としての役割を担いながらも、必要な医療・介護サービスを速やかに受けられる体制が整っている点が大きな特徴です。

地域密着型サービスのおもな種類

おもな地域密着型サービスは、以下の3種類です。それぞれの特徴を解説します。

訪問・通所型サービス

自宅で暮らす要介護・要支援の認定を受けた方を対象に、訪問や施設への受け入れによって生活支援や介護、健康管理、衛生管理指導などを提供するサービスです。

例えば、1つの施設で訪問・通所・短期入所などの複数のサービスを提供する「小規模多機能型居宅介護」があります。また、夜間に発生した事案への対応や夜間の定期訪問によってサポートを行う「夜間対応型訪問介護」も、訪問・通所型サービスの一つです。

認知症対応型サービス

認知症の方を対象に、生活のサポートや認知症のケアをするサービスです。通所介護と共同生活介護(グループホーム)の2パターンがあります。

通所介護では、利用者ができる限り自宅で暮らせるように、施設に通所しながら生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サポートなどを日帰りで受けられる点が特徴です。

共同生活介護では、認知症の方がグループホームに入所し、自立した生活を営むために必要な支援や機能訓練などを受けられます。利用者同士で、介護スタッフとともに共同生活を送る点に特徴があります。

施設・特定施設型サービス

特定施設とは「特定施設入居者生活介護」の略称で、介護保険法に基づいて厚生労働省が定めている基準を満たした有料老人ホーム・ケアハウス・養護老人ホームなどを指します。
利用者の状況に合わせて作成されたケアプラン(介護サービス計画書)をもとに、日常生活のサポートや身体的介助を受けられる点が特徴です。また、特定施設は、入居人数が29人以下と定められています。

状況に合わせて適切な介護サービスを活用しよう


介護サービスは、「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」の3つに分類されます。サービスごとに受けられる介護内容は異なるため、体調や生活環境などを考慮して選ぶことが大切です。

高齢化が進むなかで、介護サービスを利用する方は増加することが予想されます。早い段階で、介護サービスへの理解を深めておくと、いざ必要となったときに安心です。

公的な介護サービス以外のサポートも希望される方は、全額が自己負担となるため民間の介護保険への加入がおすすめです。

 
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将来に備えて保険加入をご検討中の場合は、ぜひご活用ください。

CFP 齋藤 彩

急性期総合病院において薬剤師として勤める中、がん患者さんから「治療費が高くてこれ以上治療を継続できない」と相談を受けたことを機にお金の勉強を開始。ひとりの人を健康とお金の両面からサポートすることを目標にファイナンシャルプランナーとなることを決意。現在は個人の相談業務・執筆活動を行っている。

資格:1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(Certified Financial Planner)

公開日:2025年3月10日

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