居宅サービスとは?
種類や自己負担額・利用開始までの流れ


「家族を自宅で介護するため、居宅サービスの種類や内容、費用負担の目安が知りたい」と思う方も多いのではないでしょうか。

公的介護保険で利用できる居宅サービスには4つの区分、12種類のサービスがあり、「要介護」と認定された人が利用できます。

当記事では、居宅サービスの概要や利用開始までの流れ、受けられる介護サービスの内容、自己負担額の目安を解説します。

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「居宅サービス」とは

居宅サービスとは、自宅で生活しながら受けられる公的介護保険の介護サービス全般を指します。4つの区分・12種類のサービスがあり、都道府県・政令指定都市・中核市が指導・監督を行います。

居宅サービスのメリットは、自宅でプロの介護を受けられることです。また、家族の身体的・精神的な介護の負担が軽減される点もメリットといえるでしょう。自宅を離れずに介護サービスを受けたいと希望する方に適したサービスです。

ただし、居宅サービスを利用するには、住民票のある自治体から「要介護」と認定される必要があります。

ほかの介護サービスとの違い

公的介護保険で利用できる介護サービスは、居宅サービスのほかにもあります。ここでは「施設サービス」「地域密着型介護サービス」「居宅介護支援」について、それぞれの特徴や代表的なサービスをご紹介します。

施設サービス

介護保険施設に入居し、24時間体制で介護を受けられるサービスを指します。対象となる施設は次の3つです。
  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム):要介護高齢者の日常生活における介助や療養上の世話などを行う生活施設です。

  • 介護老人保健施設:在宅復帰を目指す要介護高齢者に医療や介護、リハビリテーションなどのサービスを提供する施設です。

  • 介護医療院:長期的な療養が必要な要介護高齢者に介護や医療などを提供する施設です。

地域密着型介護サービス

市町村が指定した事業者が提供する、以下10種類の介護サービスです。ただし利用できるのは、原則として事業者のある市町村に住民票がある方に限られます。
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
  • 夜間対応型訪問介護
  • 地域密着型通所介護
  • 療養通所介護
  • 認知症対応型通所介護
  • 小規模多機能型居宅介護
  • 認知症対応型共同生活介護
  • 地域密着型特定施設入居者生活介護
  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
  • 看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)

居宅介護支援

利用者ができるだけ自宅で自立した生活を送れるよう、ケアマネジャーがケアプランを作成し、事業者や関係機関との調整を行う支援です。利用者が必要な介護サービスを受けるための支援であり、ホームヘルパーなどから直接介護サービスを受ける居宅サービスとは異なります。

関連記事:介護サービスの種類とは?3つの分類と各サービスの特徴

居宅サービスの種類・内容

居宅サービスに該当するのは、以下の4つの区分・12種類のサービスです。

区分

サービス名

訪問サービス

訪問介護(ホームヘルプサービス)

訪問入浴介護

訪問看護

訪問リハビリテーション

居宅療養管理指導

通所サービス

通所介護(デイサービス)

通所リハビリテーション

短期入所サービス

(ショートステイ)

短期入所生活介護

短期入所療養介護

その他のサービス

特定施設入居者生活介護

福祉用具貸与

特定福祉用具販売

区分別に、それぞれのサービスの内容を解説します。

訪問サービス

自宅にいながら介護や日常生活の介助などを受けられるサービスです。
  • 訪問介護(ホームヘルプサービス)
    ホームヘルパーが利用者の自宅を訪問し、食事や排泄などの介助や生活支援を行います。

  • 訪問入浴介護
    介護スタッフが移動式浴槽を持って自宅を訪問し、利用者の入浴の介助を行います。

  • 訪問看護
    看護師や准看護師、保健師などが医療的ケアの必要な利用者の自宅を訪問し、療養に関連する世話や診療補助を行います。

  • 訪問リハビリテーション
    機能訓練指導員(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など)が利用者の自宅を訪問し、心身機能の維持回復、日常生活の自立をサポートするためのリハビリテーションを行います。

  • 居宅療養管理指導
    通院が難しい利用者の自宅を医師や薬剤師、管理栄養士、歯科医師、歯科衛生士などが訪問し、療養上の管理や指導を行います。

通所サービス

介護施設や医療機関などへ通って日常生活上の支援やリハビリテーションなどを受けるサービスです。
  • 通所介護(デイサービス)
    利用者が日中にデイサービスセンターなどの通所介護施設へ通い、入浴や排泄、食事などの介護サービスを受けます。併せて、レクリエーションや機能訓練が提供される場合もあります。

  • 通所リハビリテーション
    利用者が介護老人保健施設や病院、診療所などへ通い、機能訓練の専門スタッフによるリハビリテーションを受けます。

短期入所サービス

短期間だけ施設に入所して介護や日常生活上の支援などを受けるサービスです。ショートステイとも呼ばれます。
  • 短期入所生活介護
    特別養護老人ホームなどへ短期間入所し、入浴や排泄、食事などの介護サービス、機能訓練などを受けるサービスです。退院後に自宅で生活を送ることが不安な方や、家族の病気などで一時的に在宅での介護が難しくなった要介護者の方がおもに利用します。

  • 短期入所療養介護
    短期入所生活介護と同様、一定期間家族が自宅で介護を行えないときなどに利用できるサービスです。療養生活の質の向上、家族の介護負担の軽減をおもな目的としています。一時的に医療機関や介護老人保健施設、介護医療院へ入所し、介護や日常生活上の支援、医療ケア、機能訓練などを受けます。

その他のサービス

公的な介護施設ではなくても、特定施設入居者生活介護の指定を受けた有料老人ホームなどでは介護サービスを受けられます。また、福祉用具のレンタルや購入も公的介護保険の対象です。
  • 特定施設入居者生活介護
    特定施設の指定を受けた有料老人ホームや軽費老人ホーム(ケアハウス)、養護老人ホームの入居者に対して、日常生活上の支援や機能訓練などのサービスを提供します。厚生労働省令が定めた運営基準を満たし、都道府県知事の指定を受けている施設は入居すると「利用者の居宅」とみなされるため、居宅サービスを利用できます。

  • 福祉用具貸与
    車椅子やその付属品、特殊寝台、体位変換器、手すり、歩行器など、介護に必要な福祉用具をレンタルできるサービスです。公的介護保険が適用されるため、自己負担額を軽減できます。

  • 特定福祉用具販売
    衛生面の問題などからレンタルしにくい福祉用具を購入する際に、自己負担割合に応じた給付を受けられます。支給限度額は年間10万円で、超過分は全額自己負担になります。
    例:入浴補助用具、簡易浴槽、腰掛便座など

居宅サービス利用開始までの流れ

 
居宅サービスを利用するためには、まず要介護認定を受ける必要があります。要介護認定を受けてから居宅サービスを利用開始するまでの大まかな流れは、以下のとおりです。
  1. 要介護認定を受ける
  2. 居宅サービス計画作成依頼届出書を自治体の窓口に提出する。
  3. 居宅介護支援事業者のケアマネジャーに居宅サービス計画(ケアプラン)を作成してもらう。
  4. サービス提供票、およびサービス利用票が交付される。
  5. ケアプランに基づいて居宅サービスを利用開始する。
居宅サービスを受けるために必要となるケアプランは、家族や介護を受ける方が作成することも可能です。サービス開始後も、介護を受ける方の状態を踏まえながら時おり見直すことが大切です。

関連記事:公的介護保険とは?公的介護保険申請から利用開始まで

居宅サービスの自己負担

居宅サービスをはじめとする介護サービスの自己負担額は、利用の際にかかった費用の1割(一定以上の所得がある方の場合は2割または3割)です。例えば、1万円の介護サービスを受けた場合、利用者の負担額は1,000円(2割負担の場合は2,000円)です。

また、1カ月間の公的介護保険支給限度額は、要介護度ごとに設定されており、限度額を超えた分は全額自己負担になります。

要介護度

限度額

要支援1

50,320

要支援2

105,310

要介護1

167,650

要介護2

197,050

要介護3

270,480

要介護4

309,380

要介護5

362,170

ただし法改正による変更もあり得るため、利用時には最新の情報を確認することが大切です。

以下に、居宅サービスの自己負担例を2つ挙げます。どちらも1割負担の場合の目安です。なお、サービス費用は地域によって異なります。

例1     訪問入浴介護の自己負担額の目安

要介護度

自己負担額

要介護15

1回につき1,266

例2     通所介護(デイサービス)の自己負担額の目安

8時間以上9時間未満で1日利用・食費は別途負担

要介護度

自己負担額

要介護1

669

要介護2

791

要介護3

915

要介護4

1,041

要介護5

1,168

種類やサービスを理解して居宅サービスを活用しよう


居宅サービスを利用すれば、自宅でプロのスタッフによる介護を受けられます。家族の負担も軽減されるため、住み慣れた家を離れたくない方に適したサービスです。

居宅サービスを利用する際は、まず自治体の窓口に申請して要介護の認定を受けましょう。その後、ケアマネジャーにケアプランを作成してもらい、それに基づいて介護サービスを利用します。

居宅サービスは「訪問サービス」「通所サービス」「短期入所サービス」「その他のサービス」の4つに大きく分けられます。ケアプランをもとに、必要なサービスを選びましょう。

 
朝日生命では、認知症などの介護の経済的負担に備えられる介護保険を提供しています。
将来に備えて保険加入をご検討中の場合は、ぜひご活用ください。

CFP 齋藤 彩

急性期総合病院において薬剤師として勤める中、がん患者さんから「治療費が高くてこれ以上治療を継続できない」と相談を受けたことを機にお金の勉強を開始。ひとりの人を健康とお金の両面からサポートすることを目標にファイナンシャルプランナーとなることを決意。現在は個人の相談業務・執筆活動を行っている。

資格:1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(Certified Financial Planner)

公開日:2025年3月10日

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