ダブルケアとは、子育てと親などの介護を同時に担う状態のことです。また、ダブルケアを行う人は「ダブルケアラー」と呼ばれています。
近年は少子高齢化や晩婚化、晩産化などの影響により、子育て期と親の介護時期が重なりやすくなっています。そのため、時間的・身体的・精神的な負担は大きくなる傾向です。
例えば、未就学児の育児をしながら、高齢の親の通院介助・生活支援を行うケースがあります。また、遠距離に住む親の介護と子育てを並行して進めるケースなどでは、移動負担が増えることもあるでしょう。
介護は突然始まるケースも多く、十分な準備ができないまま育児との両立を求められることも少なくありません。
ダブルケアは近年、社会問題の一つとして認識されており、一定数の当事者が存在するといわれています。
内閣府 男女共同参画局「男女共同参画白書 令和6年版」によると、未就学児の育児と介護を同時に行うダブルケアラーは20.1万人です。
<世代別(女性)>
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世代
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人数(割合)
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40~44歳
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4.5万人(22%)
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35~39歳
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3.6万人(18%)
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<世代別(男性)>
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世代
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人数(割合)
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40~44歳
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2.8万人(14%)
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35~39歳
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2.2万人(11%)
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※内閣府 男女共同参画局「男女共同参画白書 令和6年版」をもとに作成
男女ともに35~44歳の割合がほかの世代よりも高く、全体の6割以上を占めています。
<男女別>
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性別
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有業者(割合)
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無業者(割合)
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女
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7.8万人(39.0%)
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3.9万人(19.5%)
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男
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8.0万人(39.6%)
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0.4万人(2.0%)
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※内閣府 男女共同参画局「男女共同参画白書 令和6年版」をもとに作成
男女別では、女性の有業者が7.8万人、女性の無業者が3.9万人、男性の有業者が8.0万人、男性の無業者が0.4万人です。
晩婚化・晩産化の進行によって、子育ての時期と親の高齢化が重なりやすくなっています。
また、少子高齢化の進行により、家族内でケアを担える人が限られやすい状況に陥っていることも、ダブルケアを引き起こす要因の一つといえるでしょう。
さらに、共働き世帯の増加により、仕事を続けながら育児と介護を両立しなければならず、負担が大きくなっている状況です。
ダブルケアでは、育児と介護を同時に行うことで、日常生活のさまざまな場面に影響が生じる可能性があります。
ここでは、ダブルケアによって起こりやすい代表的な問題を確認していきましょう。
ダブルケアでは、育児と介護の両方に時間を取られるため、担う人がフルタイム勤務を継続することが難しくなるケースがあります。
特に、親や子の急な通院対応・体調変化などで突発的な欠勤や早退が発生しやすくなり、勤務時間の調整や時短勤務を選択せざるを得ないケースもあります。
また、状況によっては離職を選ばなければならない場合もあるため、キャリア形成や収入面に影響が出るかもしれません。
さらに、「家庭のケアは女性が担うべき」という固定観念がいまだ残っていることもあり、女性に負担が偏りやすい傾向も見られます。
一方で、男性がケアを担うことも増えてはいるものの、職場や周囲の理解を得づらいケースもあります。
ダブルケアでは、育児費用と介護費用が同時に発生するため、家計への負担が大きくなりがちです。
例えば、子育てでは保育料や教育費などが必要になります。一方、介護では介護サービス利用料の自己負担分に加え、通院費や介護用品代などの支出も想定しておかなければなりません。
しかし、時短勤務や離職による収入の減少に加え、長期間にわたってダブルケアが続く場合、十分な貯蓄がなければ生活費との両立が難しくなることも考えられます。
さらに、遠距離介護の場合は、交通費や日用品費など細かな支出が積み重なりやすい点にも注意が必要です。
ダブルケアでは、育児と介護を同時に行うことで担う人が休息時間を確保しにくくなり、疲労やストレスが蓄積しやすくなります。その結果、慢性的な疲労や睡眠不足となり、心身に不調をきたす可能性が高まるでしょう。
また、「自分がしっかり支えなければならない」という責任感から、強い不安やプレッシャーを抱えてしまう人もいます。
加えて、介護はいつまで続くかわからないことも多く、先の見通しが立ちにくいため、精神的負担が継続する可能性もあるのです。
ダブルケアは周囲に同じ状況の人が少ない場合もあり、悩みを共有できず孤独感を抱きやすい点も特徴といえるかもしれません。
育児と介護では、利用する制度や相談窓口が異なります。そのため、「どこへ相談すれば良いのかわからない」と感じる人も少なくありません。
そもそもダブルケアを総合的に支援する窓口がまだ十分に整備されていないことが、相談先に悩んでしまう要因といえるでしょう。
また、利用できる制度が多岐にわたる一方で内容が複雑なため、自分に合った支援を把握しにくいことも課題の一つです。
家族や周囲に相談できる相手がいない場合、問題を一人で抱え込みやすくなり、必要な支援を受けられないまま状況が深刻化してしまうケースもあります。
ここでは、ダブルケアを乗り越えるために意識したいポイントを紹介します。
家族や親族と話し合い、育児や介護の役割分担を整理することにより、ダブルケアで特定の人に負担が集中する状況を防ぎやすくなります。
また、職場へ状況を共有し理解を得ることで、時短勤務や在宅勤務、休暇制度などを活用しやすくなるなど、働き方の調整が容易になる場合もあるでしょう。
さらに、地域包括支援センターや自治体の窓口への相談を通じて、利用可能な支援制度やサービスの情報を得られることがあります。
ダブルケア当事者のコミュニティに参加し、同じ立場の人と情報交換を行うことも有効です。悩みを共有し、相談することで、精神的な負担の軽減にもつながることが期待できるでしょう。
実際に介護が始まると、育児と介護の対応に追われ、支援制度について調べる時間を確保するのが難しくなります。そのため、ダブルケアの状況が見込まれる場合は、早めに情報収集を行うことが大切です。
また、地域包括支援センターや子育て支援窓口など、どこへ相談すれば良いのか把握しておくことも重要です。
支援を受ける際の申請方法や手続きについても確認しておけば、必要なタイミングでスムーズに制度を利用できるでしょう。