グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは、認知症の高齢者が「可能な限り自立した生活を続ける」ことを目的に共同生活を送り、必要に応じて食事や排せつ、入浴などの日常生活のサポートを受けられる施設です。
1ユニットは5~9人程度の少人数構成で、家庭に近い環境のなかで穏やかに暮らせるよう配慮されています。
利用できるのは、原則として施設がある自治体に住民票があり、認知症の診断を受けた要支援2~要介護5の方です。要支援1の方は利用できません。
住み慣れた地域で生活を続けながら、顔なじみの人や地域とのつながりを保ちやすいグループホームは、心身の安定を図り、認知症の進行の予防につながることも期待されています。
近年、グループホームの数は全国的に増加しており、2024年(令和6年)時点では14,341事業所となっています。
グループホームの費用は、大きく「初期費用」と「月額費用」に分けられます。金額の目安は次のとおりです。
なお、グループホームは地域密着型サービスに位置付けられており、自治体が事業所の指定や監督を行う仕組みです。そのため、民間の有料老人ホームと比べると施設ごとの費用差は小さいでしょう。
ただし、人件費や地価などが高くなりやすい都市部の施設は、地方より費用が高額になる傾向にあります。
初期費用と月額費用の内訳を具体的に確認していきましょう。
グループホームでは、入居時に初期費用として「入居一時金」または「保証金」を支払う場合があります。どちらを採用しているか、また金額は施設によって異なり、保証金が入居一時金に含まれているケースも少なくありません。
他方で、初期費用が不要な施設もあるため、複数の施設を比較しながら確認することが大切です。
-
入居一時金
入居一時金は、グループホームでの生活を開始するため入居時に支払う費用で、賃料などの一部を前払いする仕組みとなっています。
退去時には未償却分が返還されるのが一般的ですが、入居期間に応じて償却されることから、満額が戻るわけではありません。また、償却率や償却期間、返還の有無などは施設ごとに異なるため、契約前に確認しておくと安心です。
-
保証金
保証金は、賃貸住宅の敷金と似た性格を持つ費用です。退去時の部屋の清掃・修繕費などに充てられ、実際にかかった費用を差し引いた残金は返金されるのが一般的です。入居一時金と同様に、施設によって取り扱いや金額は異なります。
月額費用には、介護サービス費と日常生活費、その他の費用などが含まれます。施設で生活するうえで継続的に必要となる費用であり、毎月の支出として大きな割合を占める部分です。
入居後に困ることがないように、事前にどのような費用がかかるかを把握しておきましょう。
介護サービス費は、要介護度やユニット数によって決まる「基本サービス費」に、看取りや、より手厚いサービスの提供によって上乗せされる「加算」で決まります。
これらは公的介護保険の対象となるため、利用者は所得に応じて1~3割の自己負担でサービスを受けることが可能です。
以下は、基本サービス費の自己負担額を要介護・ユニットごとにまとめたものです。
※1割負担、1カ月を30日、1単位を10円で計算
【1ユニットの場合】
| 要介護度 |
自己負担額 |
| 要介護1 |
22,950円 |
| 要介護2 |
24,030円 |
| 要介護3 |
24,720円 |
| 要介護4 |
25,230円 |
| 要介護5 |
25,770円 |
【2ユニットの場合】
| 要介護度 |
自己負担額 |
| 要介護1 |
22,590円 |
| 要介護2 |
23,640円 |
| 要介護3 |
24,360円 |
| 要介護4 |
24,840円 |
| 要介護5 |
25,350円 |
併せて、加算の例も見てみましょう。
例えば、入居者の安心・安全のために夜間の見守り体制の充実を図っている1ユニットの施設では、「夜間支援体制加算(Ⅰ)」が適用され、1日につき50単位が加算されます。1カ月(30日)で計算すると、50単位×30日×10円=15,000円となり、1割負担の場合は自己負担額が1,500円増える計算です。
このように、提供されるサービス内容によって介護サービス費は変動する点に注意が必要です。
日常生活費は、公的介護保険の対象外となる費用で、全額自己負担となります。具体的には、賃料や管理費、食費、水道光熱費などが該当します。
賃料は立地によって異なり、地価の高い都市部では高くなる傾向があります。一方、車でのアクセスが必要となるような郊外地域では比較的安く設定されていることも少なくありません。居室の広さや設備の充実度などによっても費用は変わります。
さらに、嚥下障害などにより通常の食事が難しい場合や、医学的理由で特別な食事が必要な場合には、追加費用が発生することもあります。
このほか、医療費やおむつ代、理美容費なども必要になることがあります。これらは利用状況によって変動するため、個人差が出やすい費用です。
おむつ代や理美容費は施設が料金を設定している場合が多いですが、おむつの持ち込みが可能な施設もあります。費用を抑えたい場合は、事前に相談してみるとよいでしょう。
また、施設によっては定期健診を実施しており、その際には診察料がかかることがあります。医師の診察によって薬が処方された場合には、薬代も別途必要です。
このように、月額費用には介護サービス費以外にもさまざまな支出が含まれるため、入居前に内訳や金額を確認しておくとよいでしょう。
グループホームは比較的費用が抑えられている施設であるものの、長期間利用すると家計への負担は小さくありません。しかし、公的介護保険制度や自治体の助成制度を活用することで、費用負担を軽減できる可能性があります。
事前に理解を深めておくことで、いざというときでもスムーズに活用できるでしょう。
介護サービスは、所得に応じて1~3割の自己負担で利用できます。ただし、日常的にサービスを利用する場合、月ごとの自己負担額が大きくなることもあるでしょう。
そのようなときに利用できるのが「高額介護サービス費制度」です。この制度は、1カ月の介護サービス費の自己負担額が一定の上限額を超えた場合、超過分が払い戻される仕組みです。
ただし、対象となるのは介護サービスの自己負担分のみです。賃料や食費などの日常生活費は対象となりません。また、すべての介護サービスが対象になるわけではないため、対象範囲を確認しておくことが大切です。
なお、負担上限額は世帯の所得区分によって異なり、具体的な金額は以下のとおりです。
本制度の申請先は自治体の窓口です。自己負担額が上限を超えると、2~3か月後に自治体から支給申請書が自動送付される場合が多いため、必要事項を記入して申請しましょう。
自治体によっては、独自の助成制度を設けている場合があります。
例えば、住民税非課税世帯で、収入や資産額が一定以下といった条件を満たすと、賃料や食費・光熱費の一部を補助する制度などです。
こうした制度は自治体ごとに内容が大きく異なり、対象となる要件や助成金額もさまざまです。グループホームへの入居を検討する際は、自治体の窓口や地域包括支援センターに、活用できる制度がないかを相談してみるとよいでしょう。
グループホームの費用を年金だけで支払おうとしている方もいるかもしれません。
厚生労働省によると、厚生年金保険(第1号)の老齢年金の平均月額(基礎年金月額を含む)は15万1,142円、国民年金の平均月額は5万9,431円となっています
(厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」)。
一方、グループホームの月額費用の相場は、先に紹介したようにおおむね12万~30万円程度です。有料老人ホームと比べると費用は比較的低い傾向にありますが、年金のみで支払うのは難しいケースも少なくありません。また、入居時には入居一時金などの初期費用が必要になる場合もあります。
そのため、
グループホームへの入居を検討する際は、貯蓄や助成制度の利用なども含めて費用負担を考えておく必要があるでしょう。
これから介護に備える段階であれば、
現金給付型の民間介護保険を活用することも選択肢の一つです。
介護施設の費用について詳しく知りたい方は、下記記事も参考にしてください。
介護施設の費用はいくら?利用料の相場・負担軽減の方法