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身近な人に介護が必要になったとき、「介護サービスを利用したいけれど、何から始めれば良いのかわからない」と迷う方は少なくありません。
公的介護保険制度の介護サービスを利用するには、まず要介護認定を受けることが求められます。要介護認定とは、その人に必要な介護や介助の程度はどれくらいなのかを8つの区分で判定することです。
当記事では、介護サービスをスムーズに利用するために、要介護認定の流れや基準、認定区分ごとの違い、受けられるサービスを詳しく解説します。
1. 本人の状態 |
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要支援 |
基本的に1人での生活が可能で、部分的な支援を要する状態 |
要介護 |
運動機能や思考力の低下により、1人での生活が困難な状態 |
2. 利用できるサービス |
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要支援 |
介護予防サービス |
要介護 |
介護サービス |
3. ケアプランの作成 |
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要支援 |
地域包括支援センターの職員が作成 |
要介護 |
担当のケアマネジャーが作成 |
介護の分類 | おもな介護内容 |
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直接生活介助 | 入浴・排せつ・食事などの介助 |
間接生活介助 | 掃除・洗濯などの家事の支援 |
BPSD関連行為 | 徘徊時の捜索や不潔行為に対する片づけなど |
機能訓練関連行為 | 歩行訓練・日常生活訓練などの機能訓練 |
医療関連行為 | じょくそう(床ずれ)処置や輸液管理などの診療補助 |
出典:厚生労働省「介護認定審査会委員テキスト2009 改訂版(令和3年4月)」
認定区分 | 要介護認定等基準時間 |
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非該当(自立) | 25分未満 |
要支援1 | 25分以上32分未満 |
要支援2 | 32分以上50分未満のうち、要支援状態にある者 |
要介護1 | 32分以上50分未満 のうち、要介護状態にある者 |
要介護2 | 50分以上70分未満 |
要介護3 | 70分以上90分未満 |
要介護4 | 90分以上110分未満 |
要介護5 | 110分以上 |
出典:厚生労働省「介護認定審査会委員テキスト2009 改訂版(令和3年4月)」
要支援1 |
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本人だけで日常の暮らしをほぼ送れる状態です。ただし、立ったり座ったりする際に少しふらつく様子が見られます。 また、掃除や洗濯といった家事のすべてを1人で担うのは困難で、部分的支援や見守りが必要です。 |
要支援2 |
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要支援1と同様、基本的には本人だけでの生活が可能な状態です。ただし、要支援1の状態と比べ、部分的な支援を要するケースは増えます。 例えば、入浴時に背中を自分で洗ったり、浴槽をまたいだりする動作が難しいというように、運動機能のわずかな低下が見られます。 |
要介護1 |
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食事や排せつなどの身の回りのことは、ほとんど自分で行えます。ただし、歩行の不安定さやズボンを上げ下げする動きの困難さが見られ、部分的な介助が必要です。 また、認知機能や思考力、理解力の低下を少し感じることがあります。 |
要介護2 |
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立ったり歩いたりする動作を自力で行えないことが多くなります。見守りのもとに着替えることは可能ですが、食事や排せつ、入浴などの日常的な動作の一部や全部に介助が必要です。 認知機能にもさらなる低下が目立ち、問題行動が見られることもあります。 |
要介護3 |
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基本的な日常の動作だけでなく、食事・排せつ・入浴に全面的な介助を要する状態です。理解力や判断力の低下が著しく、問題行動も見られます。 要介護3からは、介護の度合いが比較的強い段階とされています。そのため、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)では要介護3以上であることが利用条件に設定されています。 |
要介護4 |
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自力で日常生活を送るのが困難な状態です。食事・排せつ・入浴などで全面的な介助を要します。認知機能の低下によって意思の疎通がしにくく、問題行動も多く見られます。 介護者は多くの時間を介護にかける必要があり、大きな負担を感じるでしょう。 |
要介護5 |
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寝たきり状態で、介護なしでは生活できない段階です。運動機能・認知機能が著しく低下し、意思の疎通はかなり難しくなります。 在宅介護の場合、介護者の一日のほとんどが介護に費やされるため、介護者の負担は非常に大きいといえるでしょう。 |
認定区分 | 支給限度額 |
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要支援1 | 5,032単位(約50,320円) |
要支援2 | 10,531単位(約105,310円) |
要介護1 | 16,765単位(約167,650円) |
要介護2 | 19,705単位(約197,050円) |
要介護3 | 27,048単位(約270,480円) |
要介護4 | 30,938単位(約309,380円) |
要介護5 | 36,217単位(約362,170円) |
出典:厚生労働省「サービスにかかる利用料」より
1. 訪問調査 |
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訪問調査では、自治体職員や委託されたケアマネジャーなどの認定調査員が本人の自宅を訪問し、本人の状態や日常生活、住まいの環境などについてヒアリングを行います。 |
2. 主治医意見書の作成 |
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訪問調査後、市区町村の依頼で、かかりつけ医が主治医意見書を作成します。 |
3. 一次判定と二次判定 |
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一次判定では、訪問調査の結果と主治医意見書の一部項目を用いて、コンピュータが認定区分を判定します。 二次判定では、一次判定や主治医意見書、訪問調査の特記事項をもとにして、医療・保健・福祉の専門家が認定区分を判定します。 |
4. 結果の通知 |
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要介護認定の申請から約30日後、介護認定審査会の審査結果に基づき、認定区分が通知されます。 |
サービス名 |
サービス内容 |
訪問介護 |
ホームヘルパーが自宅を訪問し、入浴・排せつ・調理・掃除・洗濯など日常生活に必要な介護をする。 |
訪問入浴介護 |
看護職員や介護職員などが巡回車で自宅に専用の浴槽を持参し、入浴の介護をする。 |
訪問看護 |
看護師や保健師が自宅を訪問し、診療補助・療養上の世話をする。 |
訪問リハビリテーション |
理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が訪問し、必要なリハビリを提供する。 |
居宅療養管理指導 |
医師や歯科医師、薬剤師などが自宅に訪問し、療養上の管理や指導をする。 |
通所介護(デイサービス) |
デイサービスセンターなどに通い、生活指導や入浴・食事支援、リハビリなどを受ける。 |
通所リハビリテーション |
介護老人保健施設や病院などに通い、リハビリや入浴支援などを受ける。 |
福祉用具の貸与 |
自立支援のための福祉用具(車いすや移動用リフト、歩行支援具など)を支給限度額の範囲内でレンタルできる。 |
福祉用具購入費・住宅改修費の支給 |
住宅改修や福祉用具の購入にかかる費用を支給限度額の範囲内で支給される。 |
サービス名 |
サービス内容 |
夜間対応型訪問介護 |
夜間(18時~8時)に「定期巡回の訪問介護」「利用者の通報に応じた訪問介護」を受ける。 ※要支援1・2の人は利用不可 |
認知症対応型通所介護 |
認知症の人がデイサービスなどに通い、認知症に配慮した介護やリハビリを受ける。 |
小規模多機能型居宅介護 |
住み慣れた地域にある小規模な介護施設で、通所サービスを中心に「訪問介護」「短期宿泊」を組み合わせたサービスを受ける。 |
施設名 |
サービス内容 |
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) |
常時介護が必要で、自宅での生活が困難な方のための生活施設。 日常生活に必要な介護や機能訓練、療養のための世話、健康管理などを受ける。 ※原則、要介護3以上が対象 |
介護老人保健施設 |
病状が安定した人が看護や介護、リハビリを中心とした医療サービスを受け、自宅への復帰を目指す施設。 看護やリハビリ、療養上の世話などを受ける。 ※要介護1以上が対象 |
介護医療院 |
医療と介護両方のニーズに対応する施設。 長期にわたり療養が必要な方が療養上の管理や、医学的管理下における機能訓練、療養上の世話を受ける。 |
介護療養型医療施設 |
長期療養を必要とする人に、医療と介護、日常生活に必要なサポートを提供する施設です。2024(令和6)年3月末で廃止され、当施設の役割は介護医療院に引き継がれます。 |
要介護認定は、介護サービスを利用したい人について、どのような介護・介助がどれくらい必要なのかを8区分で判定する仕組みで、非該当(自立)・要支援1~2・要介護1~5で構成されています。
要介護認定を受けるには、必要書類をそろえたうえで、市区町村の窓口で申請を行い、訪問調査や主治医意見書の作成、一次判定、二次判定を受けることが必要です。
介護サービスを利用すると、住み慣れた地域での暮らしを継続しながら介護を受けられ、必要に応じて施設への入所も可能です。介護が必要になった場合には要介護認定を申請し、本人や家族のより良い生活を目指しましょう。
公開日:2024年11月5日