地域包括支援センターとは?
役割と相談できる内容・利用方法


地域包括支援センターは、高齢者の生活に関する幅広い相談に、無料で対応してくれる総合相談窓口です。公的介護保険の手続きだけでなく、医療や福祉の悩み、生活をするうえでの困りごとなども相談できます。

名前を聞いたことはあっても、「具体的に何をしてくれるのか」「離れて暮らす親のことを相談できるのか」がわからず、利用をためらっている方も多いのではないでしょうか。

当記事では、地域包括支援センターの役割やサポートをする専門家を紹介します。併せて、地域包括支援センターに相談できることや利用方法も詳しく解説しますので、介護予防や介護サービスに関心のある方は、ぜひ参考にしてください。

「地域包括支援センター」とは?

 
地域包括支援センターとは、介護・医療・福祉・保健など、高齢者のあらゆる困りごとに対応する中核的機関です。高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるよう、必要に応じて適切なサービスや関係機関につなぐ役割を担っています。

現在、地域包括支援センターは全国に5,487カ所(支所等を含めると7,374カ所)設置されており(令和7年4月末現在)、相談は無料です。
なお、地域包括支援センターの名称は各市区町村で異なる場合があります。例えば、東京都の場合、江東区では「長寿サポートセンター」、北区では「高齢者あんしんセンター」と呼ばれています。

地域包括支援センターの4つの役割

地域包括支援センターには、おもに4つの役割があります。

  1. 総合相談支援
  2. 権利擁護
  3. 包括的・継続的ケアマネジメント
  4. 介護予防ケアマネジメント
それぞれの役割を詳しく見ていきましょう。

1.総合相談支援

地域包括支援センターでは、介護・医療・福祉・保健など、高齢者の困りごとや悩みに幅広く対応しています。相談内容に応じて適切な機関や制度、サービスを紹介し、必要に応じて利用につながるようサポートします。

公的介護保険の制度内だけにとどまらず、必要に応じて医療機関や保健所など、制度の枠を越えた関係機関と連携するのも、総合相談支援の特徴です。

ほかにも、要介護認定の申請・介護サービスの手続きなどのサポートや、支援が必要な高齢者の自宅を訪問して状況を確認する「アウトリーチ」も地域包括支援センターの役割です。

2.権利擁護

高齢者が安心して尊厳のある生活を送れるよう、高齢者の権利にかかわる相談を受け付けています。具体的には、詐欺などの消費者被害の相談・対応や虐待の早期発見・対応などです。

また、成年後見制度の紹介など、判断能力や体力が低下した高齢者も安心して暮らせるようサポートしています。

3.包括的・継続的ケアマネジメント

地域包括支援センターでは、地域で活動するケアマネジャーへの助言や個別相談、情報交換会、勉強会などの機会を提供しています。また、医療福祉の専門職や民生委員、支援に必要な関係機関などとのネットワークを構築し、支援体制を整備する役割も担っています。

高齢者への支援を充実させるためには、関係機関との協力体制を強化することやケアマネジャーへの支援体制づくりが大切です。

4.介護予防ケアマネジメント

地域包括支援センターでは、要支援1・2と認定された方への介護予防支援や、総合事業を利用する要支援者・事業対象者への介護予防ケアマネジメントを行っています。事業対象者とは、厚生労働省が定めている「基本チェックリスト」をもとに、市区町村から介護予防や生活支援が必要と判断された方です。

本人の心身の状態や生活環境、希望などを確認し、介護予防ケアプランの作成や、必要なサービス・地域活動の案内などを行います。

また、市区町村では、要支援認定を受けていない方を含む65歳以上の方を対象に、健康教室や体操教室、通いの場などの一般介護予防事業を実施しているケースも多いです。利用できる事業は市区町村によって異なります。

地域包括支援センターに在籍する専門家

地域包括支援センターには、保健師・主任ケアマネジャー・社会福祉士といった専門家が職員として在籍しています。次では、それぞれの専門家について解説します。

保健師

保健・医療の専門知識を生かし、高齢者の健康維持や介護予防を支援します。具体的には、以下のような業務を担っています。

●相談業務
●健康管理や保健指導
●介護予防に役立つ情報の提供
●健康づくり教室などの開催
●ケアプランの作成

介護予防ケアプランを作成する際は、高齢者本人や家族の希望、心身の状態、生活環境などを確認し、必要なサービスや地域の活動を検討します。ケアプランの作成は保健師だけが担当するものではなく、社会福祉士や主任ケアマネジャーなど、ほかの職員と連携して行います。

また、保健師は看護師資格も保有しており、医療知識を必要とする相談の場でも活躍しています。

主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)

主任ケアマネジャーのおもな役割は「包括的・継続的ケアマネジメントの支援」です。具体的には、以下のような業務があります。

●ケアマネジャーの指導・相談
●ケアプラン作成の支援
●支援が難しい事例への助言
●地域ケア会議の開催

ケアマネジャーの相談先になったり、地域の関係機関との連携を支援したりと、地域で活躍するケアマネジャーがより活動しやすいようサポートを行っています。

社会福祉士

社会福祉士のおもな役割は、高齢者の総合相談支援や権利擁護に関する対応です。具体的には以下のような業務を担っています。

●高齢者の生活に関する相談・対応
●高齢者虐待に関する相談・対応
●消費者被害に関する相談・対応
●成年後見制度の利用援助

必要に応じて、公的制度や地域にある団体、サービスなど、関係各所と連携しながら高齢者の暮らしを支えています。

地域包括支援センターで相談できること

地域包括支援センターでは、高齢者に関して幅広く相談を受け付けています。具体的な相談内容と対応の一例を表にまとめました。

【地域包括支援センターに寄せられた相談と対応事例】

相談内容

対応

高齢による足腰の衰えで、最近家事をするのが難しくなった

職員が自宅訪問し、訪問介護の生活援助を提案した

父親が入院しており、一人暮らしなので退院後の生活が心配

相談員がケアマネジャーを紹介すると同時に、介護サービスを利用するための申請も進めた

家族の物忘れの症状がひどくなったが、病院の受診を拒まれて困っている

相談員が本人と面会。医療機関やデイサービス職員とも連携し、通院やデイサービスの利用までをサポートした

近所で一人暮らしをする高齢の親族が心配

職員が自宅を訪問。地域住民や医療・介護職と連携して、定期的な見守りや受診の支援を手配した

高齢者が虐待を受けている可能性があるがどうしたらよいか

職員が自宅訪問し虐待があったことを確認。介護負担によるストレスが要因と判断し、介護施設への入居を提案。必要な手続きをサポートした

高齢者本人の困りごとはもちろん、その家族からの相談も受け付けています。また、「近所に住んでいる高齢者のことが心配」など地域住民からの相談も可能です。

地域包括支援センターの利用方法

本人やその家族が地域包括支援センターを利用する場合、どのような手順で利用したらよいのでしょうか。ここでは、利用対象者と利用の流れをそれぞれ紹介します。

利用対象者

地域包括支援センターの利用対象者は、以下のとおりです。

●対象地域に住む65歳以上の高齢者
●特定疾病が原因で要介護・要支援認定を受けた40~64歳の第2号被保険者
●高齢者の家族や親族
●高齢者支援にかかわっている人(介護スタッフなど)

地域包括支援センターは、対象地域に住む65歳以上の方であれば、要介護認定の有無などの制限なく利用できます。また、高齢者本人だけでなく、家族や近隣の方からの相談も幅広く受け付けています。

利用の流れ

地域包括支援センターの利用手順は、以下のとおりです。
  1. 自分が居住する地域の地域包括支援センターを調べる
  2. 来所または電話で相談する
  3. 家族や本人と担当者が面談する(来所もしくは自宅訪問)
  4. 相談内容に応じて必要なサービスや事業所の紹介を受ける
調べる際は、各市区町村窓口に問い合わせるか、ホームページを活用すると便利です。地域包括支援センターは多忙な場合もあるため、あらかじめ電話相談をするとスムーズです。

電話連絡をすると、対応した職員がヒアリングして担当する専門家を決定します。その後、本人や家族との面談を経て、必要なサービスや事業所の紹介などを受けられます。

相談時に用意するもの

相談の際は、以下のものを用意しておくとよいでしょう。

●介護保険被保険者証(65歳以上の方)
●加入している医療保険がわかる書類
●マイナンバーカード
●かかりつけ医の診察券やお薬手帳
●相談したい内容や困っている状況をまとめたメモ

これらを持参すると、要介護認定の申請や制度の手続きが円滑に進みやすくなります。

特にメモは、口頭では伝えにくい経緯や、困りごとの経過を整理しておくためにも重要です。担当者による状況把握を容易にするので、必要な支援につながりやすくなります。

なお、用意すべきものは年齢や相談内容によって変わるため、不明点はあらかじめ電話で確認しておくと安心です。

対象者が遠方に住んでいる場合

離れて暮らす親のことについて、家族が代理で相談したい場合も、地域包括支援センターは利用できます。ただし相談先は、家族(子)が住む地域ではなく、高齢者本人(親)が住む地域を担当するセンターになるので注意しましょう。

来所しなくても電話相談は可能で、相談内容によっては職員が対象者の自宅を訪問して対応してくれる場合もあります。担当のセンターがわからないときは、「(対象者の住む市区町村名)+地域包括支援センター」で検索するか、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」で調べるとよいでしょう。

なお、相談は無料です。まずは電話で状況を伝えるだけでも、今後の見通しが立てやすくなるでしょう。

地域包括支援センター以外の相談窓口

地域包括支援センター以外にも、高齢者や家族が相談できる窓口はいくつかあります。状況に応じて使い分けられるよう、おもな相談先を紹介します。
  • 市区町村の介護保険担当課(高齢福祉課等):公的介護保険の申請・手続きなど制度全般の相談窓口
  • 地域の民生委員:地域の事情に精通した身近な相談相手
  • 医療機関の相談室:本人の病状を踏まえた相談ができるかかりつけクリニック・病院の窓口
  • ハローワーク:介護休業給付の申請手続きの窓口
  • 都道府県労働局:育児・介護休業法に関する相談窓口
担当の民生委員がわからない場合は、市区町村の福祉窓口に問い合わせるとよいでしょう。また、かかりつけの医療機関がある場合は、通院先の相談室も選択肢の一つです。

仕事を続けながら介護に向き合う場合は、介護休業給付の手続きを扱うハローワークや、育児・介護休業法について相談できる都道府県労働局も活用できます。

どこに相談すればよいか迷う場合は、まず地域包括支援センターに相談しましょう。必要に応じて、適切な窓口を案内してもらえます。

地域包括支援センターに関するよくある質問

地域包括支援センターの利用を検討する際に、よく聞かれる質問をまとめました。

地域包括支援センターには何歳から相談できますか

相談対象となるのは、基本的に65歳以上の高齢者(第1号被保険者)です。

また、40~64歳で、末期がんや慢性関節リウマチ、脳血管疾患など16種類の特定疾病で要介護・要支援状態と認定されている方(第2号被保険者)も、地域包括支援センターで相談したり、支援を受けたりすることが可能です。

なお、40~64歳の方が要介護・要支援認定を申請する際は、加入している医療保険が確認できる書類の提出を求められることがあります。

相談を受けてサービスを利用する場合も無料ですか

相談自体は無料です。地域包括支援センターの総合相談支援業務や介護予防ケアマネジメントに、費用はかかりません。

ただし、紹介された公的介護サービスを実際に利用する場合は、原則としてかかった費用の1割を利用者が負担することになります。65歳以上の方は、所得に応じて負担割合が2割または3割になる場合もあります。

認知症の診断を受ける前でも相談してよいのでしょうか

「なんとなく様子がおかしい」という漠然とした不安の段階でも、相談が可能です。

「同じ話を何度もする」「料理の手順が崩れてきた」といった気になる変化があれば、医療機関を受診する前でも相談の対象になります。地域によっては、専門職が自宅を訪問して初期対応に当たる「認知症初期集中支援チーム」につないでもらえる場合もあります。

平日の日中は連絡が難しい場合、相談する方法はあるのでしょうか

一部の地域包括支援センターでは、時間外でも電話相談を受け付けています。また、事前に連絡すれば、休日の対面相談に応じてくれるセンターもあります。

対応状況は地域によって異なるため、まずは担当のセンターに問い合わせてみてください。

地域包括支援センターを活用し、住み慣れた家で安心して暮らそう


地域包括支援センターは、高齢者が安心して暮らせるよう、あらゆる困りごとに関する相談を受け付けている総合相談窓口です。主任ケアマネジャーや保健師、社会福祉士などの専門家が、悩みに対する解決方法の提案や必要なサービスの紹介をしてくれます。

利用対象者は、原則として65歳以上の方とその家族や親族、高齢者支援にかかわる人です。離れて暮らす家族が代わりに相談することもでき、状況によっては医療機関の相談室など地域包括支援センター以外の窓口も選べます。困りごとがある方は、地域包括支援センターに相談してみてはいかがでしょうか。

 
朝日生命では、認知症などの介護の経済的負担に備えられる介護保険を提供しています。
将来に備えて保険加入をご検討中の場合は、ぜひご活用ください。

久毛 希[作業療法士]

作業療法士として回復期病院や介護老人保健施設での臨床を経験後、リハビリテーション専門学校の専任教員や特別養護老人ホームでの機能訓練指導員の管理業務を歴任。現在はフリーランスのライター・ディレクターとして独立し、専門知識を活かした医療・介護系記事の執筆・編集・監修など幅広く手がけている。

資格:作業療法士・福祉用具プランナー・福祉住環境コーディネーター2級・認定心理士・薬機法・医療法規格協会 YMAA個人認証 取得
など

公開日:2026年10月15日

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