デイケアとは?
通所リハビリの内容・対象者・費用・選び方


自宅での生活を支えるために、日帰りでリハビリなどを受けられる「デイケア」の利用を考えている方も多いのではないでしょうか。

デイケアの対象者や受けられるサービス内容、費用感などを利用前に確認しておくことで、自身に適した施設を見つけられる可能性が高まります。

この記事では、デイケアの概要やサービス内容、対象者、費用、選び方などを解説します。

朝日生命では認知症介護などの経済的負担に備えられる介護・認知症保険をご提供しています。
詳しい資料はこちら

「デイケア(通所リハビリテーション)」とは

医師やリハビリ専門スタッフのもとで日帰りの機能訓練や医療的ケアを受けられる介護サービスのことを、「デイケア(通所リハビリテーション)」といいます。

デイケアの目的は、利用者が可能な限り自宅での自立した生活を継続できるよう、適切な支援を行うことです。具体的な内容としては、日常生活上の支援や、口腔機能の向上を目指すサービス、生活機能向上のための機能訓練などが挙げられます。

デイケアを提供できる施設は、病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院の4つに限られています。

デイケアで提供しているサービス内容

 
デイケアでは、医師や看護師、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)などの専門スタッフが連携してサービスを提供します。

専門スタッフのもとで提供されるサービスの具体的内容は、次のとおりです。

リハビリテーション

デイケアでは、リハビリに重点をおいたサービスが提供されています。リハビリは医師の指示のもと、国家資格を持った専門スタッフによって行われます。

作業療法(OT)は、着替えや食事、入浴など日常生活に必要な動作の訓練を通じて、自立を支援します。

理学療法(PT)は、歩行訓練、筋力強化、バランス訓練などを行い、身体機能の維持・改善を図ります。

言語聴覚療法(ST)は、失語症や嚥下障害の改善、コミュニケーション能力の向上を目指した訓練を行います。

デイケアで提供されるリハビリには、「集団リハビリ」と「個別リハビリ」の2種類があります。

集団リハビリ

集団リハビリでは、複数の利用者が一緒に体操や軽い運動、レクリエーション活動などを行います。

皆で同じプログラムに取り組むため、運動習慣が身に付くだけでなく、他者との交流を通じた社会性やコミュニケーション能力の維持・向上も期待できる点が特徴です。

また、集団での活動は認知機能を刺激し、参加意欲を高める効果も期待できるでしょう。

個別リハビリ

個別リハビリは、理学療法士や作業療法士が利用者一人ひとりの身体状況や生活目標に応じて、オーダーメードのプログラムを提供するリハビリです。

専門スタッフが個別対応することで、歩行訓練や筋力強化、食事や着替えといった日常動作の訓練など、より効果的で集中的な支援を提供しています。

定期的に機能訓練の内容や目標を見直しながら進めていくため、無理のないペースで安心して取り組めるでしょう。

日常生活支援

デイケアでは、リハビリを主体としつつ、日常生活に必要な支援も多面的に提供されます。

例えば、栄養バランスの整った食事が用意され、必要に応じて職員による食事介助を受けることが可能です。

入浴介助では、清潔の維持に加えてリラクセーション効果も期待できるように、安全面に配慮した支援が行われます。

排泄に関しては、トイレへの誘導やおむつ交換など、個人の状態に合わせつつプライバシーを尊重した丁寧な対応を受けることが可能です。

さらに、手芸やゲーム、季節ごとのイベントといったレクリエーション活動も充実しており、日々の生活に楽しい刺激をもたらしてくれるでしょう。

健康管理・医療的ケア

健康面では、毎日のバイタルチェックとして体温や血圧、脈拍などを測定するなど、体調の変化を早期に察知できる体制が整っています。

また、医師による定期的な診察が行われるため、健康状態の確認や治療方針の見直しも可能です。

服薬管理も受けられるため、薬の飲み忘れや誤飲を防げるでしょう。
※薬の処方はできません。

万が一、利用者の体調が急変した場合には看護師や医師が迅速に対応し、必要に応じて医療機関と連携して適切な処置を受けられます。

デイケアはどのような人が利用できる?

デイケアは公的介護保険制度に基づくサービスであり、利用の前提として要支援認定もしくは要介護認定を受けている必要があります。

また、40歳以上65歳未満の医療保険加入者で特定疾病がある人も、公的介護保険の「第2号被保険者」として要介護認定を申請できます。

サービスを利用したい場合は、原則として主治医の指示書や診断書が必要です。なお、主治医がいない方は市区町村指定の医師および施設に在籍している医師に書類作成を依頼することができます。

デイケアを利用するメリット・デメリット

デイケアの利用には、メリットとなる要素もあればデメリットになり得る要素もあります。

メリット

デイケアを利用する大きなメリットの一つは、医師や看護師が常駐しているため、体調の変化に素早く対応できる点です。特に、医療機関に併設された施設であれば、より高度な医療的ケアを速やかに受けられることもあります。

また、理学療法士や作業療法士といったリハビリの専門スタッフが在籍しているため、利用者は質の高い機能訓練サービス提供を受けられます。

定期的に施設へ通うことで、生活のリズムが整い心身ともに安定しやすくなる、介護を担う家族の負担軽減につながる、といった点もメリットでしょう。

デメリット

デイケアを実施している施設の数には限りがあり、希望する施設を利用できない可能性があります。

また、利用を始めるには医師に診断書を作成してもらわなければならないため、その取得に時間がかかることや、デイサービスと比較して利用料が高いこともデメリットの一つです。

さらに、マンツーマンでの個別リハビリが常に受けられるわけでもありません。利用者数や時間帯によって制限を受けることもあり、スケジュールなどの事前確認が必要となります。

デイケアで過ごす一日の流れ

 
デイケアでは、朝から夕方まで日中を通してさまざまなプログラムに参加します。

<例>
  • 9:00頃:施設のスタッフが送迎車で利用者をお迎え
  • 9:30頃:バイタルチェック
  • 10:00頃~:機能訓練、運動、入浴
  • 12:30頃~:食事、休憩など
  • 13:30頃~レクリエーション、おやつタイムなど
  • 17:30頃:施設スタッフが送迎車で送り届ける
上記はあくまでもデイケアの基本的なスケジュールの一例であり、施設や利用者ニーズなどによって内容は異なります。

デイケアを利用するための手続き

デイケアを利用する際には、以下のような手続きを行います。
  1. ケアマネジャーに相談する
  2. 施設を見学する
  3. 主治医などに診断情報提供書または健康診断書の作成を依頼する
  4. 施設側と面談を行い利用可否の判定を待つ
  5. 利用可能になったらケアプランを作成する
  6. 利用開始
利用にあたっては、要支援または要介護認定を受けている必要があります。認定がない場合は、住んでいる市区町村の窓口に申請しましょう。

多くの施設では事前に見学や体験ができるようになっているため、利用前に施設を確認しておくと安心です。

なお、デイケア施設によっては、診断情報提供書や健康診断書を提出しなくても良い場合があります。必要書類に関する不明点は、ケアマネジャーに相談するとよいでしょう。

デイケアの費用

デイケアを利用する場合、おもに「基本料金」「サービス加算」「その他の費用」がかかります。

基本料金

基本料金とは、サービスを受ける際にかかる基本的な費用のことです。基本料金には、公的介護保険が適用されます。

実際にかかる費用は、要介護度や施設の規模、利用時間などで異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。

<要支援12の認定を受けた方>

サービス費用の設定

利用者負担(1割)

要支援1

2,268円/1カ月

要支援2

4,228円/1カ月

 

<要介護15の認定を受けた方>

サービス費用の設定

利用者負担(1割)

通常規模※の事業所の場合(6時間以上7時間未満)

1カ月の平均利用延べ人数750人以内

要介護1

715円/1

要介護2

850円/1

要介護3

981円/1

要介護4

1,137円/1

要介護5

1,290円/1

なお、利用者負担は居住地の地域区分によって異なります。

サービス加算

サービス加算とは、個別サービスを受けた際や、施設が一定の体制を整えている場合などにかかる追加料金のことです。おもなサービス加算としては、以下のようなものが挙げられます。
  • 入浴介助加算:高齢者が安全に入浴できるよう、適切な設備やスタッフ体制を整えている施設に対する評価としての加算。
  • 栄養改善加算:栄養状態が不十分な利用者への栄養改善を図る取り組みや、心身の状態の維持・向上への取り組みに対する評価としての加算。
  • 口腔機能向上加算:口腔機能が低下、またはそのおそれがある場合における、機能改善を目的とした支援を評価対象とする加算。
  • 生活機能向上連携加算:医師やリハビリ専門職との協働によってアセスメントを実施し、より適切な介護計画を作成することで算定される加算。

その他費用

サービスの利用にともない発生する「その他費用」には、食事代や、日用品(歯ブラシ・紙おむつ・おやつなど)を施設側から提供された場合の費用が含まれます。

金額は施設ごとに異なりますが、食費はおおよそ1食当たり500~1,500円程度を目安にするとよいでしょう。

これらの費用は公的介護保険の適用外となるため、全額自己負担です。ただし、施設によっては日用品を持参することが認められている場合もあります。出費を抑えたい場合には、あらかじめ施設へ確認すると安心です。

デイケアを選ぶときのポイント

デイケアを利用するときは、以下のポイントを意識して施設を選ぶとよいでしょう。

サービス内容は充実しているか

デイケアでは、施設ごとに提供されるサービス内容が異なります。基本的な食事、入浴、排泄支援の対応状況に加えて、どのようなリハビリプログラムが実施されているかを確認することが大切です。

また、レクリエーションの種類のほか、安心して利用するうえでは緊急時の対応体制も欠かせないチェックポイントとなります。

施設の雰囲気やスタッフの対応は良好か

施設の雰囲気やスタッフの対応は、利用者が快適に過ごせるかを左右する大きな要素です。見学の際には、利用者とスタッフの関係性や接し方を観察しましょう。

特に、食事の時間など人が集まりやすい時間帯に訪問することで、普段の雰囲気を把握しやすくなります。

リハビリ設備や環境が目的に合っているか

デイケアを利用する目的に、設備や環境が適しているかを確認しましょう。

例えば、機能訓練機器が充実しているか、理学療法士や作業療法士といった専門スタッフが常駐しているかなどが重要です。

また、車いす対応のトイレや特別浴槽の有無、機能訓練機器の種類なども、利用者の状態に応じて確認しておきたいポイントです。

契約内容や料金体系が明確に示されているか

デイケアの料金は法律で定められた部分もありますが、食費や日用品の料金など、施設によって異なる項目も存在します。

そのため、契約前に料金体系が明確に提示されているかを確認することが重要です。事前に説明を受け、負担額の目安を把握しておくとよいでしょう。

迷ったらどちらを選べば良い?デイケアとデイサービスの違い

「デイケア(通所リハビリ)」と「デイサービス(通所介護)」は混同されやすいサービスですが、目的や対象者が異なります。

デイケアは「通所リハビリテーション」のことで、専門的なリハビリを通して身体機能や認知機能の改善を目指すサービスです。

デイケアの利用対象となるのは、要支援1~2、もしくは要介護1~5と認定された方です。

一方のデイサービスは「通所介護」のことであり、日常生活の支援を中心とした介護サービスで、自立を維持しながら自宅で生活を続けられるようサポートすることを目的としています。

デイサービスを利用できるのは、要介護認定を受けている方です。介護が必要な状態でも、要支援1・2の方は利用できません。

デイケアを利用する目的やサービス内容を理解して施設を選ぼう


デイケアは、日常生活の支援に加え、専門的なリハビリによって心身の機能維持・回復を目指す重要な介護サービスです。

利用には手続きや費用面の確認が必要ですが、自身や家族の生活を支える選択肢として有効なものといえるでしょう。将来に備えて、目的や内容をしっかり確認し、理解しておくことが大切です。

 
朝日生命では、認知症などの介護の経済的負担に備えられる介護保険を提供しています。
将来に備えて保険加入をご検討中の場合は、ぜひご活用ください。

社会福祉士 萩原 智洋

有料老人ホームの介護スタッフとして、認知症の方や身体介護が必要な方の生活のサポートを行う。その後、社会福祉士資格を取得。介護老人保健施設の相談員として、入所や通所の相談業務に従事。第二子の出産を機にライターへ転身。現在は、これまでの経験を活かしてウェブコンテンツの執筆業務を行っている。

公開日:2025年7月10日

介護について知る

介護を予防する

介護について考える

公的制度・支援サービス

介護の費用

介護が始まったら

認知症について知る

認知症とは

認知症の予防

もの忘れ・認知症の専門家の
特別コンテンツ

生活習慣病について知る

生活習慣病とは

生活習慣病の予防

老後の備え方

年代別アドバイス