認知症とは

脳は、人間の活動をコントロールしている司令塔です。
認知症とは、いろいろな原因で
その脳の細胞が壊れ、やがて死んでしまったり、
脳の司令塔の働きに不具合が生じ、
一度獲得した認知機能がだんだんと低下し、
日常生活や社会生活をする上で
およそ6か月以上持続して支障が出ている状態をいいます。

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認知症の主な分類

厚生労働科学研究費補助金認知症対策総合研究事業.都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応.平成23年度~平成24年度総合研究報告書;2013 を元に岡先生監修

アルツハイマー型認知症とは

脳内に異常なたんぱく質(アミロイドβとタウタンパク質)が溜まり神経細胞が壊れ、脳(特に、記憶をつかさどる海馬領域や側頭葉、頭頂葉)が萎縮していく病気。

潜行性に発症し、緩徐に進行。近時記憶障害(数分から数日程度の記憶の障害)で発症することが多い。

進行に伴い、見当識障害、遂行機能障害、視空間障害(迷子になりやすい)が加わる。アパシーやうつ症状、病識の低下、取り繕い反応といった特徴的な対人行動がみられる。

中等度では着衣失行(正しく服が着られない)も認めやすい。65歳以前の発症例では、失語症状、視空間障害、遂行機能障害などの記憶以外の認知機能障害が前景に立つことも多い。
病初期から著明な神経症候(震えや歩行困難、けいれんなど)を認めることはまれ。

脳血管性認知症とは?

脳梗塞や脳出血で神経細胞が障害を受けることが原因の病気。

障害を受けた部位で出現する症状は異なるが、うつ、アパシー、情動失禁(情動のコントロールがでないため、わずかな刺激で急に泣いたり、笑ったり、怒ったりする状態)、人格変化や歩行障害(不安定歩行や繰り返す転倒など)、排尿障害などは認めやすい。

レビー小体型認知症とは?

特殊なたんぱく質(レビー小体)が溜まり症状が出る病気。

幻視(人物や動物、物体など)、注意や明晰さや認知力が変動する、パーキンソニズム(動作緩慢、手足の震え、筋肉が硬くなるなど)、レム睡眠行動異常症(睡眠中に突然大声を上げたり、手足を振るなどの激しい動きをしたり、悪夢で大きな寝言を言うなど)を特徴とし、抗精神病薬に対する過敏性、姿勢の不安定性、繰り返す転倒、失神、自律機能障害(便秘、起立性低血圧、尿失禁など)、過眠、嗅覚鈍麻、幻覚、体系化された妄想(被害妄想、不貞妄想、幻の同居人など)、アパシー、不安、うつも早期から認めることが多い。

前頭側頭葉変性症とは?

前頭葉と側頭葉を中心にタウタンパク質などが溜まり神経細胞が壊れ、萎縮していく病気。

著明な行動異常、精神症状、言語障害などを特徴とする。具体的には、脱抑制行動(社会的ルールの逸脱や礼儀、マナーの欠如など)、共感や感情移入の欠如、無関心、無気力、固執や常同性(時刻表的生活、常同的周遊、常同強迫行動、滞続言語など)、食事嗜好の変化、過食、飲酒、喫煙行動の増加などを認め、ゴーイングマイウェイな様相となることもある。

臨床的には、行動障害型前頭側頭型認知症(bvFTD)、意味性認知症(SD)、進行性非流暢性失語症(PNFA)に分類され、bvFTDとSDは指定難病に組み入れられている。

MCI(軽度認知障害)とは?

日常生活、社会生活に支障はなく認知症の診断まではいかないが、認知機能の低下はあり、正常でもないというグレーゾーンの状態。
  
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さちはなクリニック
副院長 岡 瑞紀

琉球大学医学部卒業。慶應義塾大学医学部精神神経科学教室にて研修。国家公務員共済組合連合会立川病院、桜ケ丘記念病院勤務後、慶應義塾大学病院メモリークリニック外来、一般内科医院での認知症診療、各種老人入居施設への訪問診療、保健所の専門医相談、地域研究、家族会など各種講演会での啓発活動を通して、様々なステージや状況下の認知症診療を経験。慶應義塾大学大学院医学研究科にて学位取得。2015年より、さちはなクリニック副院長として、もの忘れ、認知症の診療を担当。
免許・資格:医師/精神保健指定医/精神科専門医/日本老年精神医学会認定専門医/医学博士
所属学会:日本精神神経学会/日本老年精神医学会

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