1.前兆
1. 年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する。
2. 本人または家族による物忘れの訴えがある。
3. 全般的な認知機能は正常範囲である。
4. 日常生活動作は自立している。
5. 認知症ではない。
引用:e-ヘルスネット「軽度認知障害(けいどにんちしょうがい)」
MCIでは物忘れなどの症状が出るものの、日常生活には大きな支障がないため、「年齢のせい」だと見過ごされることが少なくありません。
それでは、MCIの具体的な症状を見てみましょう。
● 話そうとしている言葉がスムーズに出てこないことがある
● 今日の日付や曜日がわからないことがある
● 数分前に聞いた話を思い出せないことがある
● 鍵や財布などを置いた場所がわからなくなることがある
● 公共交通機関を利用する単独での外出に不安がある
MCIの方のうち、年間10~15%の方が認知症に移行するといわれています。ただし、早期に適切な対策を施せば、進行を予防できたり改善が見込めたりする可能性もあります。
2.初期
完全な治療法はないものの、早期発見と適切な対処により、認知症の進行を遅らせることが可能とされています。
初期段階に起こる症状の具体例を見てみましょう。
判断力の低下 |
● 日常作業をこなすのに時間がかかる ● 頻繁に物をなくす ● 周囲の会話のスピードについていけなくなる |
物忘れ |
● 料理の味付けが変わる ● 同じことを何回も聞き直す、同じ話を何度も繰り返す ● 同じ物を何度も購入する |
精神的な落ち込みや混乱 |
● 人付き合いを避け始める ● 突然怒り出す ● 活力がなくなる |
作業能力や集中力の低下 |
● 計算ミスが増える ● ドラマや本などの話の流れを追えなくなる ● 料理や車の運転など、以前はできていたことが難しくなる |
3.中期
中期段階の具体的な症状は、次のとおりです。
● 日付、時間、場所などがわからなくなる
● 電話番号や住所を言えない
● メモを残してもメモ自体の存在を忘れる
● 食事をしたことを忘れる
上記のような症状が出ると、自立生活が困難になり、家族や介護施設などのサポートが必要になります。
4.末期
● 人とのコミュニケーションが取りづらい、意思疎通が難しくなる
● 家族などの親しい人でも認知が困難になる
● 歩行障害や運動障害などが生じる
末期では、初期や中期にあらわれていた記憶障害はあまり見られません。これは、自発性の低下によって周囲や物事への関心が薄まり、「同じことを話す・同じことを聞く」などの症状がなくなるためです。
また末期では、嚥下障害・筋固縮・失禁のほか、歩行困難・運動障害・不潔行為などの症状があらわれるため、常に介助が必要な状態になります。さらに、免疫力の低下が著しくなるため、感染症で死亡するケースも見られます。