中核症状があらわれた場合、どのように対応すればよいか迷うこともあるでしょう。ここでは、適切な対応方法について解説します。
認知症の方は、できないことを責められたり強い言葉で接されたりすると、自尊心が傷つき、ストレスによって症状が悪化することがあります。記憶は失われても、傷ついた感情や怒られた記憶は残るため、否定的な対応は避けましょう。
笑顔で優しく接し、相手が安心できる環境を整えることが大切です。
認知症の方の行動には、言葉では伝えきれない意思や気持ちが隠れている場合があります。これは、助けを求めたくても言葉にできないケースがあるためです。
本人が何を望んでいるのかを理解するため、行動をよく観察し、必要なサポートをさりげなく行いましょう。そうすることで、安心感を与えながら信頼関係を築けます。
認知症の方は急かされると混乱しやすいため、落ち着いた環境を整え、本人のペースに合わせることが大切です。
思考や動作がゆっくりになる場合でも、必要以上のサポートは避け、見守りましょう。話しかける際は、正面から視野に入って声をかけるなど、安心感を与える工夫を心がけることがポイントです。
認知症を発症すると、余命は一般的に5~12年ほど言われています。介護の期間が長くなれば、介護者の心身にも相応の負担がかかるため、工夫や対策が求められます。
介護の苦労を一人で抱え込まず、家族や専門機関に相談しながら支援を受けることが大切です。周囲の助けを借りることで、介護者自身の心身の健康を守り、安定した介護環境を整えましょう。
実際に、物忘れや判断能力の低下を周囲の人から指摘されるなどして「認知症ではないだろうか」と感じたら、どうすればよいのでしょうか。
ここでは、ご自身の状態に不安を感じた際に行うべき対策を紹介します。
認知症の悪化を抑えたり予防したりするには、生活習慣の改善が有効とされています。生活習慣を改善するためには、有酸素運動、バランスの良い食生活、睡眠時間の確保が大切です。
有酸素運動のような軽めの運動は、血流の向上や脳細胞の活性化が期待できます。そのため、サイクリングやウォーキングなどを適度に取り入れるのがおすすめです。
また、バランスの良い食生活にするには、摂取カロリーを抑えること、塩分・糖分・トランス脂肪酸を控えること、緑黄色野菜や果物を積極的に摂取することなどを意識するとよいでしょう。
認知症の予防には、睡眠も有効です。現在睡眠不足の場合は、まず十分な睡眠時間を確保し、良質な睡眠が得られるようにしましょう。
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ご家族との相続手続きや財産管理対策など、認知症が進行する前に行っておくべき手続きがいくつかあります。症状が進行して判断能力を失うと、財産が凍結されたり成年後見人を自身で選べなくなったりするため、早めに対策しておくことが大切です。
通院や施設の利用にかかる費用は高額になることが予想されるので、費用の捻出に向けた対策も行っておくとよいでしょう。費用が不足すると必要なサービスを受けられなくなる可能性があるため、認知症になった際の備えになる認知症保険や介護保険に加入しておくことをおすすめします。
「認知症かもしれない」と感じたら、地域包括支援センターや保健センターなど、認知症に関して相談できる専門機関を利用するのがおすすめです。専門機関を利用することで、さまざまな情報が得られたり、専門医への受診サポートを受けられたりします。
認知症が進行すると自宅での生活が難くなる可能性があるため、介護施設への入居も検討しておくとよいでしょう。施設の種類としては、介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、グループホームなどが挙げられます。
認知症の方が入居できる施設は、以下の記事で詳しく解説しています。
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