公的介護保険制度の自己負担費用を含む、介護に要した平均月額は8万3,000円です。最も多くの割合を占めたのは、15万円以上の16.3%でした。
※「支払った費用はない」を0円として平均を算出
介護費用は、在宅介護または施設介護かによってかかる費用が異なります。介護が行なわれる場所の割合を見てみましょう。
介護が行なわれる場所は、施設よりも在宅のほうが多くなりました。在宅介護と施設介護の費用の平均は、次のとおりです。
・ 在宅介護費用の平均月額:4万8,000円
・ 施設介護費用の平均月額:12万2,000円
介護費用は、要介護度が上がるにつれ、平均月額も上がる傾向にあります。
※要支援1~要介護5は、公的介護保険制度の利用経験がある人の平均額
※「支払った費用はない」を0円として平均を算出
介護費用は、介護期間が長くなるほど総額が大きくなります。ここでは、介護期間と介護費用の総額の平均について見ていきましょう。
介護を始めてからの期間(介護中の場合は経過期間)の平均は、5年1カ月です。以下の表は、介護期間とその割合です。
介護期間は、「4年~10年未満」の31.5%が最も多くを占め、4年以上の割合は49.1%で全体の約半数を占めました。介護期間4年以上の割合は、2009年(平成21年)以降の調査のなかで最も多くなっています。
一時的な介護費用の平均額74万円、介護費用の平均月額8万3,000円、平均介護期間5年1カ月から算出すると、介護費用の総額の平均は約580万円になります。
厚生労働省「令和3年簡易生命表の概況」によると、平均寿命は男性81.47年、女性87.57年です。平均寿命の推移は、一時的に前年を下回る年があるものの、男女ともに延びています。
今後も平均寿命が延び続けた場合、介護期間も長くなる可能性があり、将来的には介護費用の増加も考えられるでしょう。
65歳以上の公的介護保険サービスの自己負担割合は?
介護費用を考えるときは、公的介護保険制度を利用する際の自己負担割合について知っておくことが重要です。ここからは、65歳以上の公的介護保険制度の自己負担割合について解説します。
65歳以上の自己負担割合は本人や世帯の合計所得金額による
公的介護保険制度は、65歳以上の「第1号被保険者」と、40歳以上65歳未満の「第2号被保険者」に分かれます。
65歳以上の「第1号被保険者」は、要支援または要介護状態にあれば、原因を問わず公的介護保険制度の利用が可能で、本人や世帯の合計所得金額によって自己負担割合が異なります。
第2号被保険者は、加齢にともなう特定疾病で要介護(要支援)状態の認定を受けた場合に利用が限られ、自己負担割合は1割です。
一方、65歳以上の「第1号被保険者」が公的介護保険制度を利用する際の自己負担割合は、以下のように分かれています。
公的介護保険制度では、要介護度に応じて1カ月あたりの支給限度額が定められています。支給限度額を超える場合、越えた分の費用は、全額自己負担です。