要介護3で一人暮らしはできる?
使える介護サービスと施設利用を考えるタイミング


親が要介護3と認定されたとき、「このまま一人暮らしを続けて大丈夫なのか」「そろそろ施設を考えるべき段階なのか」と、悩むご家族は少なくありません。仕事や家庭の都合で同居が難しい場合は、なおさら不安が募るものです。

介護サービスを適切に活用することで、一人暮らしを続けられているケースは実際にあります。ただし、状態の変化や生活環境によっては、在宅という選択肢が難しくなる時期も来るかもしれません。

この記事では、要介護3の状態の目安から、利用できる介護サービス、ケアプラン例、費用の目安、施設を検討するタイミングまでを解説します。

要介護3で一人暮らしは続けられるか

 
要介護3は、日常生活のほぼ全場面で介助が必要な状態です。それでも、介護サービスを適切に組み合わせることで、一人暮らしを維持できているケースは存在します。

厚生労働省「2022年国民生活基礎調査」によると、要介護3で単独世帯(一人暮らし)の割合は9.0%です。決して多い割合ではありませんが、一定数の方が在宅での生活を継続していることがわかります。
ただ、一人暮らしを継続できるかどうかは本人の状態や環境によって大きく異なります。「要介護3だから無理」、「サービスがあれば大丈夫」ではなく、一人ひとりの状況に応じた判断が求められます。

要介護3の状態と認定基準

要介護3がどのような状態なのかを正確に把握しておくことで、必要な介護サービスや今後の見通しが立てやすくなります。

要介護3の身体・認知機能の目安

厚生労働省の基準では、要介護3は「要介護認定等基準時間が70分以上90分未満、またはこれに相当すると認められる状態」と定義されています。
具体的には、立ち上がりや歩行・移動に全介助が必要な状態で、排泄・食事・着替え・身づくろいといった日常動作の多くの場面で介助が必要です。ただし、背もたれがあれば座った姿勢を保てる、手すりがあれば洗顔できるなど、環境や補助具を工夫すれば自分でできることも残っています。

なお、認知症による徘徊・妄想・大声といった症状が日常的に見られ、常時対応が必要な状態であれば、身体機能が比較的保たれていても要介護3以上と判定されることがあります。

要介護2・4との違い

要介護3は、要介護1~5の中間に位置します。各段階の違いは次のとおりです。
  • 要介護2:日常動作の一部にサポートが必要であるものの、自分でできることも多く、比較的自立した生活を送れる状態
  • 要介護3:食事・排泄・移動など日常生活の多くの場面で介助が必要になり、判断力や理解力の低下も見られる
  • 要介護4:ほぼすべての日常動作に介助を要する状態で、言葉でのやり取りが難しくなってくる場合もある
要介護3は「在宅介護と施設入所の境目」と呼ばれることもある段階です。在宅介護の継続を選ぶ場合も、施設介護への移行を検討する場合も、この段階で早めに準備を始めることが重要です。

要介護3で使える介護サービス例


要介護3の方が一人暮らしを続けるうえで、公的介護保険を活用して利用できるおもな介護サービスを紹介します。

訪問介護(ヘルパー)

ホームヘルパーが自宅を訪問し、身体介助(食事・排泄・入浴など)と生活援助(掃除・洗濯・調理など)を提供するサービスです。

1日に複数回の訪問も可能なため、一人暮らしの場合は朝・昼・夕と組み合わせて利用するケースもあります。また、訪問介護は通院への付き添いにも対応しています。

訪問看護

看護師が自宅を訪問し、医師の指示のもとで健康管理・服薬管理・医療処置などを行います。

慢性疾患や医療的なケアが必要な方の在宅生活を支える役割を担います。

医師からの指示があれば、理学療法士・作業療法士などによるリハビリも実施可能です。

通所介護(デイサービス)

日帰りで介護施設を利用し、食事・入浴介助・機能訓練・レクリエーションなどを受けられるサービスです。

日中の見守りを担うだけでなく、他の利用者やスタッフとの交流を通じて生活リズムの安定や社会参加にもつながります。一人暮らしで孤立しがちな状況を和らげる効果も期待できます。

短期入所生活介護(ショートステイ)

数日~数週間単位で施設に短期入所し、日常生活の介護やリハビリを受けられます。

公的介護保険を適用して連続利用ができる日数は最長で30日です。遠方で暮らすご家族が急病や冠婚葬祭などで対応できない場合のセーフティーネットとしても活用されています。

福祉用具レンタル・住宅改修

介護用ベッド・車いす・歩行器・手すりなどの福祉用具は、月額費用の1~3割の自己負担でレンタルできます。

また、手すりの取り付けや段差の解消といった住宅改修は、生涯20万円を支給限度基準額として費用の一部が支給されます。転倒などの事故を防ぎ、安全に生活できる環境を整えるうえで重要な支援です。

要介護3の一人暮らしにかかる介護費用

 
公的介護保険には、要介護度ごとに月々の利用上限額(支給限度額)が設けられています。要介護3の場合は月額27万480円が上限です。
この範囲内でサービスを利用した場合、自己負担は原則1割となります。つまり、上限いっぱいまで使っても自己負担は約2万7,000円が目安です。ただし所得に応じて2割・3割負担になる場合もあります。

なお、実際の費用は利用するサービスの種類や頻度によって変わります。上限を超えた分は全額自己負担になるため、ケアマネジャーと相談しながらプランを組み立てることが大切です。

また、自己負担が重くなる場合は「高額介護サービス費制度」も活用できます。所得区分に応じた自己負担額の月額上限が設けられており、超過した分は申請することで払い戻されます。

要介護3の一人暮らし|ケアプラン例

実際にどのようなケアプランが組まれるのか、2つの例をもとに紹介します。あくまでも一例であり、本人の状態や生活環境によってプランの内容は異なります。

認知症がないケース

【想定プロフィール】
85歳・男性/脳梗塞による左半身軽度麻痺/認知症なし/長男は県外在住
サービス種別 頻度 おもな内容・目的
訪問介護
(生活援助)
週6回 食事準備・掃除・洗濯など。安否確認も兼ねる
日曜は配食サービス併用
訪問看護 週2回 体調管理・服薬確認
通所介護 週2回 入浴介助・機能訓練・日中の見守り・社会参加
福祉用具レンタル 継続 介護用ベッド・車いす・手すり
認知症がなく意思疎通が取れる場合、訪問介護・訪問看護・デイサービスを組み合わせることで、一人暮らしを続けられるケースがあります。

本人がサービスを受け入れ、困ったときに助けを求められる状態であることが、在宅継続の一つの目安になります。

認知症をともなうケース

【想定プロフィール】
82歳・女性/認知症あり(徘徊・服薬困難)/娘は近居だが日中は仕事
サービス種別 頻度 おもな内容・目的
訪問介護
(身体介護)
週3回
(1日1回)
起床・整容・排泄・介助など
訪問看護 週2回 服薬管理・認知症症状の観察・娘への情報共有
通所介護 週3回 日中の見守り・入浴・機能訓練・生活リズムの維持
福祉用具レンタル 継続 認知症老人徘徊感知機器
認知症をともなう場合は、夜間の徘徊や服薬管理への対応が必要です。娘が仕事中の日中の時間帯はデイサービスでカバーし、徘徊感知機器を組み合わせることで、ある程度の安全は確保できます。

ただし、火の不始末や食事の誤認といったリスクが頻繁に起きるようになってきたときは、在宅継続が本人にとって安全かどうかをあらためて考えるタイミングです。

施設入所を検討するタイミング

介護サービスを利用しながら一人暮らしを続けていても、状況によっては施設介護への移行を検討すべき時期が訪れます。以下のようなサインが重なってきたときは、ケアマネジャーや地域包括支援センターへの相談をおすすめします。

家族のサポートが限界を迎えてきたとき

週末ごとに遠方から通って対応している、あるいは近居の家族がほぼ毎日訪問しなければ生活が成り立たない状態が続いている場合は、施設への移行を検討するタイミングです。

介護はご本人だけでなく、支えるご家族にとっても体力・気力の消耗が積み重なるものです。介護者側の限界の訪れも、施設を検討する一つのサインといえます。

医療的ケアの必要性が高まったとき

経管栄養・喀痰吸引・インスリン注射など医療依存度が高くなると、在宅での対応には限界が生じてきます。

訪問看護だけではカバーしきれない医療処置が必要になった場合は、医療と介護が一体的に提供される施設への入所も選択肢に入ります。

認知症が進行し、安全上のリスクが高まったとき

火の不始末・食事の誤認(食べてはいけないものを食べてしまうなど)・服薬ミスといった安全上のリスクが頻繁に起きるようになった場合は、在宅生活の継続が本人にとって危険な状態になっている可能性があります。

昼夜を問わず見守りが必要になってきた場合、それは一人暮らしという前提そのものを見直す時期かもしれません。

要介護3の方が利用できる施設の例

一人暮らしから施設介護への移行を考える際、どのような選択肢があるかを知っておくと、準備が進めやすくなります。

特別養護老人ホーム(特養)

特別養護老人ホームは原則要介護3以上から入所申し込みができる公的施設で、24時間体制のケアを比較的低い費用負担で受けられます。

ただし特養は人気が高く、特に都市部では入所まで数カ月から数年待ちになることも珍しくありません。「まだ先の話」と思わず、検討し始めたら早めに申し込んでおくとよいでしょう。

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)

グループホームは、認知症と診断された要支援2以上の方を対象とした住居型の施設です。

5~9人の少人数で共同生活を送るため、大規模施設とは異なる家庭的な雰囲気のなかでケアを受けられます。認知症が進行して一人暮らしの安全が保てなくなってきたとき、移行先の選択肢として検討できます。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

サービス付き高齢者向け住宅は、安否確認と生活相談の提供が義務付けられた賃貸住宅です。特養への入居待ちの間の受け皿としても活用されます。ただし、施設によって「自立型」と「介護型」に分かれている点には注意が必要です。

自立型は必要な介護サービスを外部と自由に組み合わせられる柔軟さがある一方、介護度が上がった場合に退去を求められるケースがあります。
介護型は、場合によっては割高になりますが、毎月定額で常駐スタッフによるケアを受けながら継続して暮らせます。
要介護3の方が入居を検討する際は、どちらのタイプがよいかを事前に確認しておきましょう。

要介護3の方の一人暮らしを支えるために家族ができること

家族が離れて暮らしていても、環境や連絡体制を整えておくことで、在宅生活を支える手だてはあります。

見守りと連絡体制を整える

緊急通報システムやセンサー型見守りサービスを設置しておくと、離れていても異変に気付きやすくなります。

配食サービスも活用したいところです。栄養管理の手段としてだけでなく、配達スタッフが毎日顔を見に来ることで、安否確認を兼ねられます。

ケアマネジャーと情報を共有する

ケアマネジャーは介護サービス全体の調整役として、本人の状態変化を把握しやすい立場にいます。遠方に住むご家族でも、本人やケアマネジャーと定期的に電話やメールで連絡を取り合う習慣を意識しておくと、小さな変化を見逃しにくくなります。

また、近隣の方や民生委員、地域包括支援センターとも日頃からコミュニケーションを取っておくことで、ケアマネジャーが把握しきれない日常の変化に気付いてもらいやすくなるでしょう。

経済的な準備を早めに考える

在宅介護であれば月々の自己負担が数万円程度で済む場合もありますが、施設に移ると月額10万円以上になるケースも少なくありません。

介護はいつまで続くかわからないからこそ、公的介護保険だけでなく民間介護保険や貯蓄での備えを、早い段階から考えておくと安心です。

要介護3でも本人が納得できる選択を


要介護3であっても、サービスを組み合わせることで一人暮らしを続けられるケースはあります。

ただし、状態は少しずつ変わっていくものです。医療的なケアが増えてきたとき、認知症が進んできたとき、遠方から支えるご家族の負担が重くなってきたとき、その都度今の暮らし方が本人にとって最善かどうかを考え直すことが大切です。

「本人がどこでどう暮らしたいか」を軸に、ケアマネジャーや地域包括支援センターとも相談しながら、家族みんなで選択肢を探していきましょう。

 
朝日生命では、認知症などの介護の経済的負担に備えられる介護保険を提供しています。
将来に備えて保険加入をご検討中の場合は、ぜひご活用ください。

小玉 有紀[介護福祉士]

1986年生まれ。福祉系専門学校にて介護福祉士・介護事務士を取得。介護業務を経験。その後、生活相談員・ケアマネジャーとしても勤務。全国展開する有料老人ホームにてアセスメントツールの開発事業に携わる。また系列施設で社員研修の講師となる。現在も、ケアマネジャーとして勤務するかたわら、ライターとして活動中。

資格:介護福祉士・介護事務士・介護支援専門員

公開日:2026年4月23日

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