老人ホームの種類9つ
費用の比較や選び方のポイント


老人ホームへの入居を検討する際に調べてみると、さまざまな種類があってどれを選ぶべきか迷ってしまうのではないでしょうか。介護施設には公的施設と民間施設があり、それぞれ入居条件やサービス内容、費用に違いがあります。適した施設を選ぶには、種類ごとの特徴や費用を把握することが欠かせません。

当記事では、老人ホームの種類を公的・民間に分類してわかりやすく紹介するとともに、費用を比較しながら、タイプ別のおすすめ施設や選び方のポイントを解説します。

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【公的施設】老人ホームの種類5つ

 
公的施設は、地方自治体や社会福祉法人、医療法人などがおもな設置主体となって運営している施設です。公的介護保険の対象であり、原則1~3割の自己負担で利用できます。また、民間施設よりも費用が安い傾向にあります。

しかし、希望すればすぐに入居できるわけではありません。社会福祉を目的としているため、入居や退去の条件が厳しく設定されています。

また、入居希望する人数が多い事から、入居までに待機期間が発生するケースがあります。

以下では、おもな公的施設の老人ホームを5つ紹介します。併せて、各施設の入居条件や提供サービスの比較結果を、以下の表にまとめました。

施設の種類

入居条件

提供サービス

介護

看護

医療

食事

特別養護老人ホーム

要介護3以上

養護老人ホーム

自立可能

×

×

介護老人保健施設

要介護1以上

介護医療院

要介護1以上

ケアハウス

(自立型)

自立可能

×

×

×

ケアハウス

(介護型)

要介護1以上

×

×

※△は施設による/外部契約やオプションで利用可能

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホーム(特養)は、入浴・食事などの生活支援に加え、介護サービスやレクリエーションも受けられる施設です。

原則として要介護3以上の方が対象で、要介護1・2の方は認知症で日常生活に支障があるなど、特別な場合を除き入居はできません。したがって、特別養護老人ホームは日常的に介護が必要な方向けといえるでしょう。

また、入居一時金がかからず、基本的に終身にわたり利用できる点も特徴です。費用も比較的安いため人気が高く、年単位の待機期間が発生する施設もあります。

特別養護老人ホームの費用や入居条件、メリット・デメリットなどの詳細は以下記事で解説しています。併せてご覧ください。

養護老人ホーム

養護老人ホームは、経済的な理由や環境上の問題により、自宅での生活が困難になった高齢者を対象とした公的な施設です。原則として、65歳以上の方が入居対象となります。

特別養護老人ホームとは異なり、介護を目的とした施設ではなく、生活の立て直しや自立支援がおもな役割です。そのため、基本的に施設内で介護サービスは提供されず、入居には一定の身体的自立が求められます。また、永住を前提とした施設ではなく、生活を立て直したのちに自宅や別の住まいへ戻ることを想定している点も特徴です。

ただし、養護老人ホームでは必要に応じて外部の介護サービスを利用できる場合もあります。入居条件や運営方針は自治体によって異なるため、前もって確認しておくとよいでしょう。

介護老人保健施設

介護老人保健施設(老健)は、利用者の在宅復帰を目的とした施設で、リハビリを必要とする要介護1以上の方が対象です。

例えば、病院を退院した直後の在宅生活に不安がある場合、一時的に介護老人保健施設に入居することで、看護・介護による日常生活の支援やリハビリなどの医療ケアを受けられます。

入居期間は原則3カ月で、3カ月ごとに継続利用の可否が判断される仕組みです。

介護医療院

長期間の療養が必要な要介護1以上の方に、介護サービスと医療ケアを提供する施設です。

痰吸引や点滴、経管栄養などの医療ケアが充実しているため、要介護度が高い方や医療ニーズの高い方に向いています。24時間体制で医師が常駐している施設もあるので、安心感も高いでしょう。

看取りやターミナルケアにも対応しており、ついのすみかとしても選択できます。

ケアハウス(自立型・介護型)

自宅での生活に不安のある方が、生活支援サービスを受けながら暮らせる施設です。ケアハウスには自立型と介護型があり、以下のような違いがあります。
  • 自立型
    生活に不安がある60歳以上の方が対象。介護を要する場合は外部の介護サービスを利用する。ただし、要介護3以上になると退去となる可能性がある。

  • 介護型
    生活に不安がある65歳以上かつ要介護1以上の方が対象。「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設のため、職員による介護サービスの提供がある。
いずれも費用が比較的安価で、所得に応じて料金が減額される仕組みもあります。

【民間施設】老人ホームの種類4つ

 
民間施設は、民間の企業が運営する老人ホームです。公的施設と比べて、サービス内容や居住環境の自由度が高い点が特徴で、入居者の希望に合わせた選択をしやすい傾向があります。

ただし、入居一時金や家賃、食費などの費用は施設ごとに異なり、なかには費用が高額な施設もあるため事前に確認が必要です。

以下では、代表的な民間施設の老人ホームを4つ紹介します。併せて、各施設の入居条件や提供されるサービスの違いを表にまとめましたのでご覧ください。

施設の種類

入居条件

提供サービス

介護

看護

医療

食事

介護付き有料老人ホーム

施設による

住宅型有料老人ホーム

自立可能

サービス付き高齢者向け住宅

自立可能

×

グループホーム

要支援2以上

×

×

※△は施設による/外部契約やオプションで利用可能

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームは、「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間体制で介護職員が常駐しており、手厚い介護サービスを受けられます。

入居するには入居一時金と月額費用が必要です。なお、月額費用には介護サービスの自己負担分も含まれますが、要介護度ごとの定額となっているため追加費用はかかりません。施設の数が多く、サービス内容や雰囲気など、ニーズに応じて選びやすい点も特徴の一つです。

介護付き有料老人ホームの利用対象者は、原則として要介護認定を受けた65歳以上の方です。ただし、特定疾病があり要介護度認定を受けている場合、40歳以上60歳未満の方を受け入れているケースもあります。

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは、生活支援などのサービスがあり、高齢者が自身の状態に合わせて暮らせるように整備された施設です。

ただし、「特定施設入居者生活介護」の指定を受けていないため、介護サービスが必要になった場合は、外部の訪問介護サービスなどを個別に契約する必要があります。なかには、訪問看護事業所やデイサービスが併設されている施設もあるため、事前に確認するとよいでしょう。

なお、入居には介護付き有料老人ホームと同様、一時金や月額費用が必要ですが、月額費用に介護サービスの費用は含まれていません。そのため、外部の介護サービス契約時には別途費用が発生します。

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、バリアフリー設計の賃貸住宅で、安否確認と生活相談サービスを受けられます。

60歳以上の自立した方がおもな対象で、自宅のように自由な生活を送れる点が魅力です。安否確認によって、深夜や明け方などの体調不良やトラブルに迅速に対応してもらえます。自由な生活を確保しつつも、必要なときの支援体制があると安心という方に適しています。

なお、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は「一般型」と「介護型」で違いがあります。

「一般型」の施設は、介護が必要になった場合、外部の介護サービスを個別に契約する必要があります。一方、「介護型」の施設では常駐の担当職員による介護サービスを受けられます。24時間体制で対応可能な施設もあり、要介護度が高い方も安心して暮らせるでしょう。

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)

グループホームは、認知症の高齢者が介護職員の支援を受けながら、5~9人程度の少人数で共同生活を送る施設です。

入居条件はおもに以下のとおりです。
  • 65歳以上である
  • 認知症の診断がある
  • 要支援2以上である
  • 施設のある地域に住民票がある
利用者は共同生活のなかで、料理や洗濯など自分でできることは可能な限り自分で行い、必要なときに専門職員の支援を受けられます。自分で家事などをできるので、認知機能の維持が期待できるでしょう。

認知症は環境の変化で症状が悪化することもあるため、住み慣れた地域で仲間と暮らせる点も一つのメリットです。

グループホームの入居条件や費用、選び方は以下記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

老人ホームの種類別の費用比較

老人ホームにかかる費用は、施設の種類やサービス内容によって大きく異なります。予算を踏まえて検討するためには、あらかじめ施設ごとの費用の違いを把握しておくことが大切です。以下では、各施設の「入居一時金」と「月額費用」の目安を表にまとめました。

施設の種類

費用

入居一時金

月額費用

特別養護老人ホーム

0

815万円

養護老人ホーム

0

014万円

介護老人保健施設

0

820万円

介護医療院

0

1020万円

ケアハウス(自立型)

030万円

715万円

ケアハウス(介護型)

0~数百万円

1020万円

介護付き有料老人ホーム

0~数千万円

1535万円

住宅型有料老人ホーム

0~数千万円

1530万円

サービス付き高齢者向け住宅

1050万円

1030万円

グループホーム

0100万円

1030万円

タイプ別にみるおすすめの老人ホーム

老人ホームにはさまざまな種類があり、入居の目的や体調によって適した施設は異なります。選択する際は、費用や医療体制、介護サービスの充実度、生活の自由度などを基準に考えることが大切です。ここでは、状況別におすすめの老人ホームのタイプを紹介します。

費用を抑えたい場合|公的施設

老人ホームにかかる費用が気になる場合は、公的施設がおすすめです。公的施設は、入居一時金が不要なケースが多く、月額費用も比較的安く抑えられます。

ただし、施設ごとに収入や年齢、要介護度などの入居条件が定められているため、事前の確認が必要です。また、人気の高い施設は、入居までに待機期間が発生する可能性があります。検討する際は、条件だけでなく空き状況も併せて確認するとよいでしょう。

医療ケアが必要な場合|介護老人保健施設・介護医療院

介護老人保健施設や介護医療院は、医師や看護師によるケア体制が整っている点が特徴です。そのため、持病がある方や医療的なケアが必要な方に適しています。

特に、在宅復帰を目指す場合は、リハビリに注力する老人保健施設が向いているでしょう。一方で、医療依存度が高く長期的な医療ケアが必要なケースでは、一般的な老人ホームでは対応が難しい痰吸引や経管栄養などのサポートが可能な介護医療院が安心です。

介護サービスを重視したい場合|介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームは、常駐スタッフによる24時間の介護体制が整っている施設です。食事や入浴、排せつなどの介護を施設内で受けられるため、介護サービスを重視したい場合に向いています。

介護付き有料老人ホームは施設ごとに医療機関と提携を結んでいます。介護と医療の両方を求める場合にも適した施設といえるでしょう。

一方で、サービスが充実している分、費用が高くなる傾向があります。入居を検討する際は、受けられるサービス内容と併せて、予算とのバランスを確認することが大切です。

自由な生活を望む場合|サービス付き高齢者向け住宅・住宅型有料老人ホーム

介護度が低く、自分のペースで暮らしながら必要な支援を受けたい場合は、サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームが適しています。

見守り体制が整っており、一人暮らしに不安を感じる方にも向いているでしょう。安否確認などのサービスが24時間体制で提供されているかなどは施設により異なるため、事前の確認が必要です。

なお、介護サービスは、外部の介護事業者と契約して利用する形が一般的です。介護度が高くなると利用が難しくなる場合もあるため、入居前に利用条件を確認したうえで検討しましょう。

認知症のケアが必要な場合|グループホーム

グループホームは、認知症の方を対象に少人数で共同生活を送る施設です。認知症の専門知識を持つスタッフの支援を受けながら生活できるため、安心して暮らせるでしょう。家庭的な雰囲気のなかで、顔なじみの人と暮らせる点も特徴で、環境の変化に不安を感じやすい方に向いています。

また、同居するメンバーと家事を分担する取り組みもグループホームの特徴です。できる範囲の役割を担いながら生活でき、心身の状態を維持しやすい点にメリットがあります。

自分に合った老人ホームを選ぶ3つのポイント

介護施設ごとに、サービス内容や費用などは異なります。「思っていた施設と違う」ということがないように、自分に合った介護施設を選ぶポイントを押さえておきましょう。

入居条件を確認する

介護施設によって入居条件や受けられるサービスは異なります。

例えば、特別養護老人ホームのように「要介護3以上」の認定が必要な施設もあれば、ケアハウス(自立型)のように要介護度が高くなると退去を求められる施設もあります。

また、経管栄養など特別な医療ケアが必要な場合は、対応できる施設かどうかを確認することが重要です。看取りの対応も施設ごとに異なるため、将来的な体調の変化を見据えて入居条件を確認しておきましょう。

その施設を「ついのすみか」とするのか、あるいは段階的に住み替えるのかなども考慮したうえで、安心して暮らせる施設を選ぶことが大切です。

費用を確認する

介護施設への入居には、入居一時金や月額費用などがかかります。無理なく払い続けられる金額かどうかを事前に確認しておきましょう。

一般的に、民間施設は公的施設よりも費用が高くなります。施設によっては介護サービスの費用が別途かかる場合もあるため、総額でどれくらい必要かを把握しておくことが大切です。

施設入居時の費用相場では、約680万円という試算結果もあります。

出典:株式会社LIFULL senior 老人ホーム検索サイト「LIFULL介護」に掲載された全国の有料老人ホームの個室タイプの料金プランデータから、中央値を算出して相場としています。(2024年10月31日時点)

これらの費用を貯蓄などから賄えない場合は、経済的な備えとして民間の介護保険を検討することも選択肢の一つでしょう。
各介護施設の費用は、以下記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

住みやすい生活環境かを確認する

介護施設は毎日を過ごす場所のため、本人にとって快適に過ごせる環境かを事前に確認することが大切です。可能であれば、見学や体験入居で施設の雰囲気や部屋の広さ、清潔さなどの生活環境を確認しておきましょう。

入居者が穏やかに生活しているか、職員が丁寧に対応しているかも重要なポイントです。加えて、家族が面会しやすい距離にあると、より安心です。

老人ホームの特徴を知り、自分に合った施設を選択しよう


介護施設は公的・民間を問わずさまざまなタイプがあり、入居条件や費用、提供されるサービスがそれぞれ異なります。将来的な要介護度の変化や医療的ケアの必要性も踏まえて、自分に合った施設を選ぶことが大切です。

そのためにも、施設の特徴をよく理解し、入居条件・費用・生活環境を事前に確認しておきましょう。可能であれば見学や体験入居を通じて、施設の雰囲気や職員の対応などを実際に確かめておくことをおすすめします。

介護施設への入居や介護サービスの利用にかかる費用には、民間の介護保険を活用することも選択肢となるでしょう。

 
朝日生命では、認知症などの介護の経済的負担に備えられる介護保険を提供しています。
将来に備えて保険加入をご検討中の場合は、ぜひご活用ください。

小玉 有紀[介護福祉士]

1986年生まれ。福祉系専門学校にて介護福祉士・介護事務士を取得。介護業務を経験。その後、生活相談員・ケアマネジャーとしても勤務。全国展開する有料老人ホームにてアセスメントツールの開発事業に携わる。また系列施設で社員研修の講師となる。現在も、ケアマネジャーとして勤務するかたわら、ライターとして活動中。

資格:介護福祉士・介護事務士・介護支援専門員

公開日:2026年3月16日

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