認知症・高齢者の方の見守りサービス
本人の意思を尊重した利用を


「認知症の方の見守りはどのようにしたらいいのか」「時間的な余裕がなくて十分な見守りができていない」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。

認知症の方の見守りは、本人の意思を第一に考えることが重要です。そのうえで、各自治体や企業などが提供している見守りサービスを活用すれば、介護者の負担も軽減されるでしょう。

本記事では、認知症・高齢者の方向けの見守りサービスや、見守りに役立つアイテムを紹介します。

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認知症の方の「見守り」とは

認知症の方の「見守り」とは、認知症の方に適切な声かけをしたり、安全に暮らせるよう配慮したりすることを指します。ずっと監視するようなイメージがあるかもしれませんが、本人の行動を制限することではありません。

認知症は一度発症すると徐々に進行していき、さまざまな症状が見られるようになります。症状が多少改善することはあっても、現代の医学では認知症の進行を止められません。
だからこそ、介護者によるサポートが必須といえます。

見守りのポイントは認知症の方の意思を尊重すること

認知症の方の見守りでは、本人の意思を十分に尊重することが重要です。本人の意思を無視したり、監視されているような状況を作ったりすると、ストレスや不安からうまくコミュニケーションをとれなくなる可能性があります。

ときには、介護者にとって理解できない言動が見られるかもしれませんが、そこには何かしらの理由が隠されています。見守りの際は認知症の方に寄り添いながら、少しずつコミュニケーションをとっていきましょう。

自分が同じような状況に陥ったときに、どう接してほしいかを想像してみるのも一つの方法です。

認知症・高齢者の方の見守りサービス・事業

認知症・高齢者の方の見守りサービス・事業は複数あります。「自分一人では十分な見守りができていない」と感じる方は、利用を検討してみるとよいでしょう。

自治体の認知症高齢者見守りネットワーク事業

多くの自治体では、認知症高齢者見守りネットワーク事業を行っています。

認知症高齢者見守りネットワーク事業とは、認知症高齢者が行方不明になった際に、地域で連携して早期発見・保護を目指す取り組みです。事前に認知症の方本人の名前や顔写真、見た目の特徴などを登録することで、行方不明になった際に協力団体やボランティアの方々へ情報が共有され、発見の可能性が高まります。

地域によっては、事前登録後にQRコードを記載されたシールが交付されます。これを本人がいつも身に着けているものに貼っておくことでスムーズな本人確認が可能になり、早期の保護が期待できます。

警備会社による高齢者見守りサービス

一部の警備会社では、高齢者の見守りサービスを提供しています。

警備会社によって内容は異なるものの、自宅にカメラやセンサーを設置して異変がないか確認したり、緊急時には警備員が駆けつけてくれたりといったサービスがあります。24時間いつでも対応してもらえるだけでなく、カメラがある場合は介護者も様子を確認できるため、安心感のあるサービスといえるでしょう。

ただし、自宅にカメラが設置されていることで監視されているように感じる方もいるため、本人との相談は必須です。

郵便局による高齢者見守りサービス

郵便局でも、高齢者見守りサービスを提供しています。このサービスでは1カ月に1回、郵便局員が認知症の方の自宅を訪問し、会話での受け答えや生活状況などを確認します。

直接会って話をする分、カメラ越しではわからないわずかな変化にも気付きやすいでしょう。本人の様子は、写真付きで報告してもらえます。

そのほか、電話による見守りサービスや、警備会社による駆けつけサービスをプラスすることも可能です。

そのほかの訪問型サービス

上記以外に、認知症・高齢者の方向けの訪問型サービスを行っている民間企業もあります。話し相手になることや食事作りを依頼できるもの、認知症の方の安否確認ができるものなど、サービス内容は企業によってさまざまです。

配食サービス

「認知症の家族が一人暮らしで、食事の用意も難しい状態である」「栄養バランスが偏りがちになっている」などの場合は、配食サービスを利用するのもよいでしょう。

配食サービスとは、栄養バランスのとれたお弁当を配達すると同時に、本人の安否確認ができるサービスです。配食サービスによっては積極的に声かけをしてくれたり、咀嚼力(食べ物を噛み砕く力)に応じたお弁当を選べたりできます。

認知症・高齢者の方を見守る際に役立つアイテム

以下では、認知症・高齢者の方を見守る際に役立つアイテムを3つ紹介します。

これらのアイテムは便利ですが、被介護者本人に相談せず購入してしまうと、信頼関係が崩れてしまうおそれがあります。被介護者にストレスを与えず見守れるよう、事前に本人に相談して購入しましょう。

見守りカメラ

介護用の見守りカメラを室内に取り付けることで、認知症・高齢者の方の様子をリアルタイムで確認できます。生活パターンや状況を把握できるため、離れて暮らしている方におすすめです。

カメラによっては通話機能や録画機能、異変を検知する機能などが搭載されており、事故などが起きた際も素早く発見・行動できるメリットがあります。

デメリットは、監視されている印象がどうしても強くなってしまうことです。見守りカメラを導入したい場合は本人との話し合いは特に必須といえます。設置する際も、なるべく視界に入りにくい場所を選びましょう。

GPS・見守りアプリ

GPSが内蔵された機器を活用するのもよいでしょう。外出のタイミングや本人の居場所が把握できるため、行方不明時の早期発見・徘徊対策につながります。

GPSが内蔵された機器はストラップ型やブレスレット型、靴のなかに入れるタイプなど、いくつかの種類が存在します。自宅に置きっぱなしにならないためにも、いつも身に着けているものや外出時に必ず持っていくものに合ったタイプを選ぶとよいでしょう。

このほかに、スマートフォンを日頃から持ち歩く方であれば、高齢者見守りアプリを用いて認知症の方の位置を把握することもできます。

コミュニケーションロボット

コミュニケーションロボットとは、言葉を発したり身体を動かしたりして人間とコミュニケーションをとれるロボットです。認知症の方がコミュニケーションロボットと関わることで認知症の症状改善や進行抑制効果が期待され、介護施設でも取り入れられつつあります。

コミュニケーションロボットは、認知症の方の孤独感解消や高齢者の話し相手としても注目を集めています。

介護サービスを利用するのも一つの方法

家族での見守りが難しいときは、介護サービスの利用を検討するのも一つの方法です。公的介護保険制度において要介護・要支援の認定を受けた場合、所得に応じて自己負担割合が1~3割で介護サービスを利用できます。

利用できる介護サービスは、訪問介護や認知症対応型通所介護、グループホームなど幅広く、経済面や体力面で介護者の負担が軽くなる可能性があります。

「親の介護について悩んでいる」「どう対処すべきかわからない」という場合は、地域包括支援センターのような専門機関や、民生委員といった地域の相談窓口に相談してみましょう。

さまざまなサービス・アイテムを活用して認知症の方の安全な生活をサポートしよう


認知症は、一度発症すると徐々に進行します。症状が重くなるほど危険に遭遇する可能性が高まるため、自治体・企業が提供しているサービスや見守りに役立つアイテムなどを活用して、安全な生活をサポートしましょう。

さまざまなサービス・アイテムの活用は、介護者の負担軽減にもつながります。

また「家族での見守りが難しい」「見守りが大変になってきている」といった場合は、介護サービスの利用も検討してみてください。

 
朝日生命では、認知症などの介護の経済的負担に備えられる介護保険を提供しています。
将来に備えて保険加入をご検討中の場合は、ぜひご活用ください。

社会福祉士 萩原 智洋

有料老人ホームの介護スタッフとして、認知症の方や身体介護が必要な方の生活のサポートを行う。その後、社会福祉士資格を取得。介護老人保健施設の相談員として、入所や通所の相談業務に従事。第二子の出産を機にライターへ転身。現在は、これまでの経験を活かしてウェブコンテンツの執筆業務を行っている。

公開日:2024年10月16日

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