認知症の方の見守りでは、本人の意思を十分に尊重することが重要です。本人の意思を無視したり、監視されているような状況を作ったりすると、ストレスや不安からうまくコミュニケーションをとれなくなる可能性があります。
ときには、介護者にとって理解できない言動が見られるかもしれませんが、そこには何かしらの理由が隠されています。見守りの際は認知症の方に寄り添いながら、少しずつコミュニケーションをとっていきましょう。
自分が同じような状況に陥ったときに、どう接してほしいかを想像してみるのも一つの方法です。
認知症・高齢者の方の見守りサービス・事業は複数あります。「自分一人では十分な見守りができていない」と感じる方は、利用を検討してみるとよいでしょう。
多くの自治体では、認知症高齢者見守りネットワーク事業を行っています。
認知症高齢者見守りネットワーク事業とは、認知症高齢者が行方不明になった際に、地域で連携して早期発見・保護を目指す取り組みです。事前に認知症の方本人の名前や顔写真、見た目の特徴などを登録することで、行方不明になった際に協力団体やボランティアの方々へ情報が共有され、発見の可能性が高まります。
地域によっては、事前登録後にQRコードを記載されたシールが交付されます。これを本人がいつも身に着けているものに貼っておくことでスムーズな本人確認が可能になり、早期の保護が期待できます。
一部の警備会社では、高齢者の見守りサービスを提供しています。
警備会社によって内容は異なるものの、自宅にカメラやセンサーを設置して異変がないか確認したり、緊急時には警備員が駆けつけてくれたりといったサービスがあります。24時間いつでも対応してもらえるだけでなく、カメラがある場合は介護者も様子を確認できるため、安心感のあるサービスといえるでしょう。
ただし、自宅にカメラが設置されていることで監視されているように感じる方もいるため、本人との相談は必須です。
郵便局でも、高齢者見守りサービスを提供しています。このサービスでは1カ月に1回、郵便局員が認知症の方の自宅を訪問し、会話での受け答えや生活状況などを確認します。
直接会って話をする分、カメラ越しではわからないわずかな変化にも気付きやすいでしょう。本人の様子は、写真付きで報告してもらえます。
そのほか、電話による見守りサービスや、警備会社による駆けつけサービスをプラスすることも可能です。
上記以外に、認知症・高齢者の方向けの訪問型サービスを行っている民間企業もあります。話し相手になることや食事作りを依頼できるもの、認知症の方の安否確認ができるものなど、サービス内容は企業によってさまざまです。
「認知症の家族が一人暮らしで、食事の用意も難しい状態である」「栄養バランスが偏りがちになっている」などの場合は、配食サービスを利用するのもよいでしょう。
配食サービスとは、栄養バランスのとれたお弁当を配達すると同時に、本人の安否確認ができるサービスです。配食サービスによっては積極的に声かけをしてくれたり、咀嚼力(食べ物を噛み砕く力)に応じたお弁当を選べたりできます。