老老介護は介護者、要介護者の双方にとって負担が大きいため、予防や事前の対策が重要です。具体的には、以下のような予防・対策があります。
● 健康な生活を心がける
● 介護教室に参加する
● 民間の介護保険の利用を検討する
● 事前に家族で話し合う
それぞれ詳しく見ていきましょう。
まずは、高齢になっても自立した生活が送れるように、健康な生活を心がけることが大切です。
適度な運動や栄養バランスの良い食事、十分な休息などを、無理のない範囲で日常生活に取り入れましょう。
家族とコミュニケーションをとったり、文字の読み書きをしたりといった活動もよいでしょう。
介護が必要となる原因の一つである認知症の予防にもなります。
自治体が開催している介護教室へ参加し、介護に関する知識を身に着けておくこともおすすめです。
介護の知識がないと、介助に時間を要したり、コミュニケーションエラーが起こったりするおそれがあります。介護が必要になったときに備えて、事前に情報を集めておきましょう。
自治体によって内容は異なりますが、以下のような内容の教室が開催されています。
● 排泄介助
● 腰痛・膝痛予防体操
● 認知症予防のトレーニング
● 公的介護保険制度と費用
● 介護予防のための運動や食事 など
介護教室に参加すれば、健康を維持しながら介護に関する知識を身に付けることができます。
自治体が開催する介護予防の取り組みは、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:
介護予防で健やかにすごそう |介護予防サービス
民間の介護保険に加入することで、介護に関する経済的な負担に備えられます。
生命保険文化センター「令和6年度生命保険に関する全国実態調査」によると、平均介護費用は月額約9万円、平均介護期間は55.0カ月です。
また、月額の介護費用以外にも初期費用がかかる可能性があります。
一時的に必要となった介護費用の平均額は約47万円となっています。
一時的な費用と月額の介護費用を合わせると、総額で約542万円必要となる見込みです。
月額の介護費用だけではなく、一時的な支出にも備えられるのが民間介護保険のメリットです。
介護費用や介護期間は、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:
介護費用や介護期間の平均はどれくらい?
家族が要介護状態になった場合を想定して、どのように対応するかを事前に話し合うことも大切です。
介護者にも自分の生活があり、要介護者と考えが異なる可能性もあります。利用できる制度やサービスを調べ、事前に考えを共有しておくことで、いざ介護が必要になっても、不要なトラブルを避けて速やかに対応できるでしょう。
老老介護を解決するには、介護者の身体的・精神的な負担と経済的な負担の軽減が必要です。具体的な解決策を4つ紹介します。
地域包括支援センターとは、地域に住む高齢者の介護や健康、暮らしに関する悩みにワンストップで応じてくれる相談窓口です。
ケアマネジャーや社会福祉士、保健師などの専門家が相談に対応し、必要に応じて利用できるサービスや制度を紹介してくれます。
基本的には地域に住む65歳以上の高齢者や要介護者、その家族などが利用対象ですが、介護や福祉の悩みがあれば誰でも無料で相談できます。
地域包括支援センターについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:
地域包括支援センターとは?役割と相談できる内容・利用方法
自治体に申請し、要介護(要支援)認定を受けると、要介護度に応じた公的介護保険のサービスを利用できます。利用料の自己負担割合は原則1割です。
介護サービスでは、以下のようなサービスを利用できます。
もし、
介護サービスの利用で自己負担限度額を超えた場合は、超過分が払い戻される「高額介護サービス費」という制度を利用できます。費用負担が高額になった場合は申請期間内に忘れずに申請しましょう。
公的介護保険制度で受けられる介護サービスや対象者などは以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:
公的介護保険制度とは? 仕組みや対象者・受けられるサービス
同居が難しい方や、なかなか様子を見に行けない方は、見守りサービスを利用してみてはいかがでしょうか。
介護の見守りサービスには、スタッフが自宅を訪問して安否確認を行う「訪問型」や、家電製品やお風呂などにセンサーを設置する「センサー型」、自宅にカメラを設置する「カメラ型」など、さまざまな形態があります。
独自の見守りサービスを展開している自治体もあるため、お住まいの自治体で利用できる見守りサービスがないかを調べてみるとよいでしょう。
また、近所に住む方との人間関係を構築しておくと、万が一のときの安否確認のお願いや相談がしやすくなります。連絡先を交換する・積極的に挨拶するなどして、良好な関係性を築くことをおすすめします。
自宅での介護が難しい場合は、介護施設への入所も選択肢の一つです。
なかでも、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、安否確認と、専門家による生活相談サービスを受けられる賃貸住宅です。自由度が高く自宅と同じように生活できるため、人気があります。施設全体がバリアフリー化されていることも、安心して生活を送ることができるポイントのひとつです。
サービス付き高齢者向け住宅には「一般型」と「介護型」の2種類があります。
一般型の入居条件は、60歳以上で自立している方、または60歳未満で要介護(要支援)認定を受けている方です。同居者として配偶者なども入居が可能です。
施設によっても詳細は異なるため、入居を検討する際には条件を忘れずに確認しましょう。
ここまで、老老介護の解決策を4つ紹介しましたが、ご本人の希望や要介護度などにより適しているサービスは異なります。家族で話し合い、状況に合ったサービスを選択することが重要です。