老健にはずっと入所できる?
入所期間の平均や退所後に入れる施設なども解説


老健(介護老人保健施設)への入所を検討する際、「どれくらいの期間入所できるのか」「退所後はどこで生活することになるのか」といった点に不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

老健は在宅復帰を目的とした施設であり、原則として短期入所が前提です。しかし、実際の平均入所期間は約10カ月であり、制度上の位置づけと利用実態との間には差が見られます。

出典:厚生労働省「令和2年 第183回社会保障審議会介護給付費分科会 【資料2】介護老人保健施設」

本記事では、老健の目的や平均入所期間、退所後のおもな選択肢、長期入所が可能な介護施設について解説します。併せて、将来の介護費用に備える方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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老健にずっと入所することは可能?

 
老健(介護老人保健施設)は、「在宅復帰」を目的とした公的介護施設の一つです。

作業療法士や理学療法士などの専門職がリハビリを提供し、心身機能の維持・改善を図る役割を担っています。そのため、終身利用ではなく、短期入所が基本です。

一般的には3~6カ月ごとに、心身の状態や生活環境を踏まえ、在宅復帰の可否が判断されます。リハビリ後に自宅へ戻るケースのほか、次の施設への入所を待つ「中間施設」として利用されることも少なくありません。「いきなり施設へ入所すると身体機能が低下するのではないか」と不安を感じる方が、リハビリ目的で老健を利用するケースもあります。

また、平成24年度の介護報酬改定以降、在宅復帰率やベッドの回転率が評価対象となっており、老健は早期退所を促す運営が求められています。

老健を利用する際は、短期入所を前提に、退所後の生活を見据えて準備しておくことが重要です。

老健の利用方法や費用は、下記記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。

「老健」とは?特徴・利用方法・費用や「特養」との違い

老健の平均入所期間は約10カ月

老健は3~6カ月の短期入所を前提としていますが、実際の平均入所期間は約10カ月と乖離があります。
理由としては、以下が考えられます。
  • リハビリ後も在宅復帰が難しい身体機能である
  • 次の施設に空きがない
  • 家族の介護体制が整わない など
ただし、施設や地域によって運営方針や対応は異なり、なかには看取りも可能としている施設もあります。

各施設の平均入所期間を知りたい場合は、厚生労働省「介護サービス情報公表システム」で個別に記載されているケースもあるため、確認してみましょう。

老健を退所した場合のおもな選択肢

 
厚生労働省「平成28年介護サービス施設・事業所調査の概況」によると、老健退所後は約3割が自宅へ戻り、約半数が他の介護施設や医療機関へ転所・入院しています。

自宅に戻る

リハビリによって心身の機能が向上した結果、自立した生活が送れると判断された、あるいは家族の支援体制が整っている場合は自宅に戻ることが可能です。住み慣れた環境で安心して過ごせる点は、大きなメリットでしょう。

一方で、介護が必要な場合は、介護者の負担軽減や、介護をしやすい環境づくりのために、自宅をどう整備するかが課題です。また、自宅に戻ることでリハビリ量の減少も懸念されます。退所後の生活は、事前に家族間で十分に話し合うことが大切です。

介護者の負担を軽減するためには、介護サービスの活用も検討するとよいでしょう。1割の自己負担(所得により2割、または3割)で、要介護度に応じた支援を受けられます。訪問リハビリや通所リハビリを利用すれば、継続的なリハビリ体制を整えることも可能です。

公的介護保険制度の概要や受けられる介護サービスは、こちら記事でも詳しく解説しています。

公的介護保険制度とは? 仕組みや対象者・受けられるサービス

医療機関に入院する

老健でも医療ケアを受けることはできますが、病気やけがの状態によっては、一度医療機関へ入院することがあります。

この場合、老健の取り扱いは施設によって異なります。3カ月以上の長期入院となる場合や、併設する医療機関以外への入院の場合は、退所扱いとされるのが一般的です。事前に確認しておくことをおすすめします。

他の介護施設に転所する

退所後、自宅での自立した生活や家族による介護が難しい場合は、長期入所が可能な介護施設へ転所することも選択肢の一つです。施設によっては、看取りまで対応している場合もあります。

転所先を検討する際は、本人の希望やリハビリの進み具合、心身の状態に加え、施設の空き状況や費用を踏まえて総合的に判断しましょう。

なお、人気の高い施設では入所待ちが発生することも少なくありません。見学や体験入所を行う期間も見込んでおいたほうが良いため、早めに情報収集し、時間に余裕をもって準備をしておくと安心です。

介護施設・老人ホームの種類や費用、施設選びのポイントは、下記記事で詳しく解説しています。

介護施設・老人ホームの種類や費用は?特徴の比較と施設選びのポイント

長期入所が可能な介護施設

 
老健は、短期入所が基本であるため、退所後に自宅での生活が困難な場合は、長期入所が可能な他の介護施設への転所も選択肢の一つです。

特別養護老人ホームやケアハウス(介護型)、介護医療院などの公的介護施設は、民間施設と比べて費用が安価な傾向です。一方で、特別養護老人ホームのように人気が高い施設は入居待ちになることも少なくありません。

また、施設によって入居条件や費用、受けられる介護・医療ケアが異なるため、本人の状態や希望に合った施設を選びましょう。

ここでは、長期入所が可能な介護施設を6つ紹介します。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホーム(特養)は、原則として要介護3以上の方を対象とした公的施設です。終身利用が可能で、看取り対応を行う施設もあります。

費用負担が比較的軽い反面、入所希望者が多く、待機期間が長くなる場合があるため、余裕をもって準備を進めましょう。

特別養護老人ホームの費用や入居条件などは、下記記事も参考にしてください。

特別養護老人ホーム(特養)の費用や入居条件メリット・デメリット・施設選びのポイントとは?

ケアハウス(介護型)

介護型ケアハウスは、要介護1以上の高齢者(65歳以上)を対象としています。

安否確認や掃除・洗濯などの生活支援サービス、レクリエーションに加えて、施設スタッフによる介護サービスを受けられる点に特徴があります。

医療ケアの対応範囲は施設によって異なりますが、費用を抑えつつ安心した生活を送りたい方に向いています。

ケアハウスの費用や入居条件などは、下記記事で詳しく解説しています。

「ケアハウス」とは?ほかの施設との違いや入居条件・利用の流れ

介護医療院

継続的な医療ケアが必要な場合は、要介護1以上であれば介護医療院も選択肢になるでしょう。介護医療院は、介護と医療ケアを一体的に受けられる公的施設です。

医師や看護師が常駐しているため、経管栄養や胃ろうといった医療ケアの支援を受けることもできます。

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)

グループホームは、要支援2以上で認知症の方を対象とした施設です。

少人数(最大9人)で共同生活を送りながら、スタッフの支援を受けて家事などを行うことで、認知症の進行を緩やかにする効果が期待されます。

グループホームの費用や入所条件は、下記記事も参考にしてください。

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは?入所条件・費用・選び方

介護付き有料老人ホーム

有料老人ホームは、「介護付き」「住宅型」「健康型」の3種類があります。

なかでも「介護付き」は、24時間介護スタッフが常駐しており、食事や入浴などの介護サービスを施設内で受けることが可能です。

民間施設であるため、公的施設と比べて費用は高額になりやすい傾向ですが、施設によってサービス内容や強みが異なり、そのバリエーションの豊富さが特徴です。要介護度が高い方も安心して生活できるでしょう。

有料老人ホームの適用サービスや費用は、下記記事で解説しています。

公的介護保険が適用される有料老人ホームとは?適用サービスや自己負担額

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、おもに安否確認や生活相談サービスを提供する高齢者向けのバリアフリー賃貸住宅です。

自立している方や、介護の必要性が低い方が対象で、必要に応じて外部の介護サービスを利用できます。自由度の高い生活を維持したい方に向いています。

介護にかかる費用の総額は約542万円、月額約9万円

老健を退所後に自立した生活を送ることができれば理想ですが、加齢や病状の変化により介護が必要になるケースも少なくありません。要支援・要介護認定者は増加傾向にあり、2030年には65歳以上の約4人に1人が該当するようになると見込まれています。

出典:厚生労働省「令和4年度 介護保険事業状況報告(年報)」および内閣府「令和6年版高齢社会白書」より当社にて推計

また、介護にかかる費用は、総額平均約542万円*1、月額平均約9万円*2です。施設に入所する場合は、別途入居時費用が必要になることもあり、全国の入居時費用相場は約680万円※1と試算されています。

*1(公財)生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」より当社試算

*2(公財)生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」

※1株式会社LIFULL senior 老人ホーム検索サイト「LIFULL介護」に掲載された全国の有料老人ホームの個室タイプの料金プランデータから、中央値を算出して相場としています。(2024年10月31日時点)

このような将来の介護負担に備える手段として、民間介護保険を活用することも選択肢の一つです。

退所後の生活を考えながら、上手に老健を利用しよう


老健は長期入所を目的とした施設ではありませんが、在宅復帰や次の住まいへ移行するまでの中間施設として、重要な役割を担っています。

入所中から退所後の生活を見据え、家族や医療・介護の専門職と相談しながら準備を進めることで、老健の機能をより有効に活用できるでしょう。

 
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将来に備えて保険加入をご検討中の場合は、ぜひご活用ください。

小玉 有紀[介護福祉士]

1986年生まれ。福祉系専門学校にて介護福祉士・介護事務士を取得。介護業務を経験。その後、生活相談員・ケアマネジャーとしても勤務。全国展開する有料老人ホームにてアセスメントツールの開発事業に携わる。また系列施設で社員研修の講師となる。現在も、ケアマネジャーとして勤務するかたわら、ライターとして活動中。

資格:介護福祉士・介護事務士・介護支援専門員

公開日:2026年3月12日

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