公的介護保険で利用できる介護サービスの種類まとめ
居宅・施設・地域密着型サービス


「もし家族の介護が必要になったら、どのようなサービスを利用できるのか」「公的介護保険で利用できる介護サービスの種類がよくわからない」などの不安や疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。

公的介護保険では、要支援・要介護の認定を受けると、訪問介護や施設入所など希望に応じて多様な介護サービスを利用できます。

この記事では、居宅サービス・施設サービス・地域密着型サービスの3つを中心に、公的介護保険で利用できる介護サービスの種類を一覧でご紹介するとともに、それぞれの特徴をわかりやすく解説します。

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公的介護保険で利用できる介護サービスとは

 
公的介護保険では、訪問介護や通所介護、短期入所など、多様な介護サービスを利用できます。要支援・要介護の認定を受けることで、自宅や施設で本人の状態に応じた適切な支援を受けられる仕組みです。

要支援・要介護の認定者数は年々増加しており、2030年には65歳以上の約4人に1人※が該当すると推計されています。

※厚生労働省「令和4年度 介護保険事業状況報告(年報)」および内閣府「令和6年版高齢社会白書」より当社にて推計

介護サービスが必要になった際、スムーズに利用できるようにするには、利用方法を事前に確認しておくことが大切です。

以下の記事では、公的介護保険について詳しく解説しています。

公的介護保険とは?公的介護保険申請から利用開始まで

【早わかり一覧】介護サービスの種類

公的介護保険で利用できる介護サービスは、大きく「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」に分かれます。以下の一覧で、それぞれのサービスの種類を確認してみましょう。

居宅サービス

訪問

訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導

通い

通所介護(デイサービス)、通所リハビリテーション(デイケア)

宿泊

短期入所生活介護(ショートステイ)、短期入所療養介護

福祉用具・住宅改修

福祉用具貸与、特定福祉用具販売、住宅改修

施設サービス

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

介護老人保健施設(老健)

介護医療院

特定施設入居者生活介護

介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(有料老人ホーム) など

地域密着型サービス

訪問

夜間対応型訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護

通い

認知症対応型通所介護、地域密着型通所介護

訪問・通い・宿泊の組み合わせ

小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)

施設入所

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、地域密着型特養、地域密着型特定施設入居者生活介護


居宅サービス|自宅で暮らしながら受けられる支援

 
居宅サービスとは、自宅での生活を続けながら、必要な介護や支援を受けられる介護サービスです。住み慣れた環境で暮らし続けることを目的に、訪問・通い・宿泊など多様な形態が用意されています。

サービスは利用者の状態や希望に合わせて柔軟に組み合わせることができ、身体介護だけでなく、生活支援やリハビリテーション、住宅環境の整備も対象になります。

以下では、居宅サービスの代表的な内容を「訪問」「通い」「宿泊」「福祉用具・住宅改修」の4つに分けて紹介します。

より詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

関連記事:居宅サービスとは?種類や自己負担額・利用開始までの流れ

訪問

訪問型の居宅サービスは、介護職員などの専門スタッフが自宅を訪問し、要介護者に必要な介護や健康管理を行うサービスです。

訪問介護(ホームヘルプ)

介護職員が自宅を訪問し、要介護者の入浴・排せつ・食事などの身体介護や掃除・洗濯・買い物などの生活援助を行う

訪問入浴介護

専用の浴槽を使用し、要介護者の自宅での入浴を支援

訪問看護

看護師などが自宅を訪問し、要介護者の病状の観察や医師の指示による医療処置を提供

訪問リハビリテーション

理学療法士などが自宅で要介護者の機能訓練を行い、身体機能の維持・改善をサポート

居宅療養管理指導

医師・薬剤師・管理栄養士などが定期的に自宅を訪問し、要介護者の健康管理や服薬指導を行う

通い

通所型の居宅サービスは、要介護者が日中に施設へ通って介護や機能訓練などを受けるものです。介護を担う家族の負担軽減にもつながります。

通所介護(デイサービス)

日中の数時間、要介護者が施設に通って食事・入浴・レクリエーション・機能訓練などを受ける

通所リハビリテーション(デイケア)

医師の指示に基づき、要介護者の機能回復や日常生活動作の訓練を目的に行われるサービスで、理学療法士・作業療法士などの専門職が支援する

宿泊

短期間の施設利用により、介護者の負担軽減や緊急時の受け入れに対応する宿泊型の居宅サービスです。

短期入所生活介護(ショートステイ)

要介護者が施設に短期間宿泊して介護を受けるサービス

短期入所療養介護

より医療的なニーズに対応した短期宿泊サービスで、医師や看護師の配置がある施設で提供される

福祉用具・住宅改修

介護を受けやすい住環境づくりを支援するためのサービスも、居宅サービスに含まれます。

福祉用具貸与

介護ベッドや車いす、歩行器などをレンタルできる制度

特定福祉用具販売

排せつ用具や入浴用具など、衛生上の理由からレンタルではなく購入が望ましい用具を対象に、費用の一部が支給される

住宅改修

手すりの設置・段差の解消・滑り防止床材の施工などを対象に、原則18万円を上限に工事費用の9割(一定所得以上は8割または7割)まで支給される

施設サービス|施設に入所して受けられる支援

施設サービスは、要介護認定を受けた高齢者が専門施設に入所し、介護や医療的ケアを受けるサービスです。自宅での生活が難しい場合や、在宅復帰を目指すリハビリテーション目的で利用されます。

対象となるのは、「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「介護医療院」などの公的施設と、「特定施設入居者生活介護」に該当する民間施設です。

ここでは、それぞれの施設の特徴や支援内容について紹介します。

また、以下の記事では施設サービスについて詳しく解説しているため、併せて参考にしてください。

関連記事:公的介護保険の施設サービスとは?種類や費用の目安

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は、常時介護が必要な高齢者のための公的な入所施設です。原則として要介護3以上の方が入所対象で、入浴・食事・排せつなど日常生活全般の支援を受けられます。

医療機関との連携も進められて終身利用が可能である点が特徴です。家族の介護負担を軽減したい場合や、自宅での生活が難しい方に適しています。

関連記事:特別養護老人ホーム(特養)の費用や入居条件|メリット・デメリット・施設選びのポイントとは?

介護老人保健施設(老健)

介護老人保健施設(老健)は、病院での治療を終えた方や、短期間の介護・リハビリテーションを必要とする方が在宅復帰を目指すために利用する施設です。

要介護1以上の方が対象で、医師・看護師・リハビリテーション職員・介護職員が連携し、日常生活に必要な機能回復訓練などを行います。

入所期間は基本的に3~6ヵ月とされており、短期間で集中的にリハビリテーションに取り組みます。

関連記事:「老健」とは?特徴・利用方法・費用や「特養」との違い

介護医療院

介護医療院は、医療と介護を一体的に提供する長期療養型の施設です。慢性疾患を抱えている、または寝たきりの状態にあるなど、常時医療的ケアが必要で在宅生活が困難な方が対象です。

施設内には医師や看護師が常駐しており、病状の管理や必要な医療処置が提供されます。従来の介護療養型医療施設の転換先として創設された背景があり、終末期のケアや長期的な療養生活に対応できる点が特徴です。

特定施設入居者生活介護

特定施設入居者生活介護は、有料老人ホームやケアハウス、サービス付き高齢者向け住宅などで、公的介護保険を使って介護サービスを受けられる制度です。

施設の種類により設備やサービス内容は異なりますが、要支援1以上の方が対象となっています。入浴や食事などの生活支援に加え、機能訓練なども提供されるのが特徴です。

地域密着型サービス|地域に根差した身近な支援

 
地域密着型サービスは、その市区町村内に住む高齢者を対象に、住み慣れた地域で安心して生活を続けられるように支援する介護サービスです。地域の実情に合ったサービスを提供するため、市区町村が事業者を指定し、運営の指導を行っています。

大規模な施設ではなく、地域に根差した小規模な事業所や施設を通じて、利用者の状態や生活環境に応じたきめ細やかな支援が提供される点が特徴です。

訪問・通所・宿泊を柔軟に組み合わせたサービスや、認知症の方への専門的支援、小規模な施設での入所支援など、その内容は多岐にわたります。

以下では、地域密着型サービスのおもな種類について紹介します。より詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せて参考にしてください。

関連記事:地域密着型サービスとは? サービスの対象者・種類・利用の流れ

訪問

訪問型の地域密着型サービスでは、夜間や緊急時も含めて自宅での要介護者の支援が可能です。日常的な見守りや介助に加え、必要に応じて看護職による対応を組み合わせ、地域での暮らしを支えます。

夜間対応型訪問介護

夜間を中心に訪問介護員が自宅を訪問し、要介護者の排せつ介助や安否確認などを行う

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

1日複数回の定期訪問と、必要に応じて随時の訪問介護・訪問看護を行う24時間体制のサービス

通い

通所型の地域密着型サービスは、少人数制で個別対応が受けやすい点が特徴です。

認知症対応型通所介護

認知症の高齢者が通える少人数制の施設で、専門的な対応による介護や機能訓練、レクリエーションなどを提供する

地域密着型通所介護

定員18名以下の小規模なデイサービスで、要介護者が住み慣れた地域で日常生活を続けられるよう、個別ニーズに応じた介護や機能訓練、レクリエーションを提供

訪問・通い・宿泊の組み合わせ

訪問・通所・宿泊の3つの支援を同じ事業所で提供します。利用者や家族の状況に応じて、柔軟に組み合わせられるのが利点です。

小規模多機能型居宅介護

訪問・通所・宿泊の3つのサービスを1つの事業所で提供する柔軟な支援

看護小規模多機能型居宅介護
(複合型サービス)

上記の小規模多機能型に「訪問看護」が加わったサービスで、医療ニーズの高い方にも対応できる

施設入所

地域密着型の入所施設では、少人数での共同生活や、小規模施設での介護が中心です。家庭的な雰囲気のなかで、よりきめ細やかな支援を受けられます。

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

認知症の高齢者が少人数で共同生活を送りながら、介護職員による支援を受ける施設

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム)

従来の特養と同様のサービスを、定員29人以下の小規模施設で提供する形態

公的介護保険が適用される介護サービスの種類を知り、状況に応じて活用しよう


公的介護保険では、自宅での生活を支える居宅サービス、入所者に介護や医療的ケアを提供する施設サービス、地域での生活に適した支援を行う地域密着型サービスの3つを軸に、さまざまな介護サービスを提供しています。

要介護度や生活環境、医療ニーズ、家族の介護体制などに応じて柔軟に選択できる仕組みとなっている点が特徴です。各サービスの特徴をあらかじめ把握しておくと、よりスムーズな利用が可能になります。将来の介護に備えるためにも、制度の内容を正しく理解し、自分や家族の状況に応じて上手に活用しましょう。

 
朝日生命では、認知症などの介護の経済的負担に備えられる介護保険を提供しています。
将来に備えて保険加入をご検討中の場合は、ぜひご活用ください。

赤上 直紀

元銀行員。住宅ローンを通じて、多くのお客様のライフプランニングに携わる。住宅ローンは人生で一番の買い物と言われているため、慎重に契約すべきだと考える。現在は、編集者として金融機関を中心に、ウェブコンテンツの編集・執筆業務を行う。

資格:1級ファイナンシャル・プランニング技能士

公開日:2025年9月10日

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